「超合金 ガンダムEX」企画担当者インタビュー
BANDAI SPIRITSは同社トイブランド「超合金」シリーズより『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』より「ガンダムEX」が立体化。 【画像】「超合金 ガンダムEX」※画像は試作品を使用しています 「ガンダムEX」は2024年10月17日よりNetflixにて世界独占配信中の『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』に登場する連邦軍のMS(モビルスーツ)。劇中では、ジオン公国軍のMS部隊レッド・ウルフ隊の隊長である主人公イリヤ・ソラリたちと敵対する機体として登場し、ソラリたちが乗る「ザクII F型」を圧倒する。 デザインにはメカニカルスーパーバイザーとして山根公利氏が参加し、情報密度の高い外観や機能性を詰めた武装をはじめとした各部ギミックも魅力だ。本作の配信を記念した「山根公利氏スペシャルインタビュー」では各所に仕込まれた表現なども解説されている。 そして、本稿でも紹介する「超合金 ガンダムEX」をはじめとした関連商品情報も公開されている。 「超合金」ブランドで表現された「ガンダムEX」。超合金「ガンダムシリーズ」ならではのデザインの追求やダイキャストや発光ギミックなど気になる本商品の魅力をBANDAI SPIRITS コレクターズ事業部で本商品の企画担当をされている寺島塁氏に話を聞いてみた。 ■ ダイキャストの重厚感と手触り。濃密な情報量が織りなす存在感 ――最初に「超合金 ガンダムEX」の商品化の経緯をお聞かせください。 寺島氏:商品化の経緯として、まず「超合金」シリーズが1974年から展開がスタートし、今年2024年に50周年を迎えました。 これまで「超合金」シリーズでは、第1号商品の「マジンガーZ」に始まり、様々なキャラクターが展開されてきました。ポピー(現:バンダイ)が企画開発を手掛け、日本を代表するキャラクタートイブランドへと成長し、TAMASHII NATIONSとなった今でも看板ブランドとなっています。 一方で、『機動戦士ガンダム』も45周年を迎えております。看板ブランドから看板キャラクターを展開することで、タッチポイントを拡大し、「超合金」シリーズの魅力をより多くの方にお届けしたい。そんな思いから、「超合金ガンダムシリーズ」を展開しております。 最近では、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』や『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』など新作のガンダム作品に寄り添う形で展開しておりましたので、今回の『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』もユーザーのタッチポイントを作っていきたいと考えました。 重厚感やサイズ感、ディテールなど「超合金」の魅力に触れていただける入り口になるように「ガンダムEX」の商品化を決めました。 ――「超合金」と「ガンダム」で目指したアプローチはありますか? 寺島氏:「ガンダムEX」は山根公利さんがデザインに参加されて、ミリタリータッチで今までの「ガンダム」シリーズにはない特徴的なデザインと情報量が魅力の一つになるかと思います。 第一印象として「超合金」のスケール感や金属などの素材特性にマッチするデザインだと感じました。「このメカデザインとしての良さを『超合金』シリーズでさらに引き出すことができないか?」とこだわって作っております。 ――劇中のデザイン再現やプロポーションなど造形でのこだわりをお聞かせください。 寺島氏:「ガンダムEX」はプラモデルの「ガンプラ」や6インチサイズフィギュア「GUNDAM UNIVERSE」でも商品展開しています。「超合金」シリーズでは、山根公利さんのデザインを再現しつつ、全高約185mmの大きいスケールでの立体化がポイントになっています。 そのため、「この大きさだから入れられるディテール」を大事にして元デザインの情報量を落とし込めたのは「超合金」シリーズの一つの魅力になっています。 正面での情報量ももちろんですが、背面から見た姿も非常に濃密なディテールとなっております。 ――劇中の3Dモデリングを参考にした点や「超合金」シリーズオリジナルのディテール追加などはありますか? 寺島氏:「ガンダムEX」が3Dモデリングを前提として山根公利さんがデザインされているので、我々も3Dモデリングを参考にしております。そのため、「超合金 ガンダムEX」でも同じ造形になるようにしており、設定にあるマーキングなどもしっかりと入れております。 ――「超合金」シリーズといえばダイキャストの使用も魅力ですが、「超合金 ガンダムEX」ではどの部分に使用されていますか? 寺島氏:ダイキャストは肘、膝関節、肩関節内部の関節部分のほかに、ボディの中央部や腹部、足回りの側面と内側、靴底にも使用しています。 「超合金」の名の通り、ダイキャストが商品の魅力になりますので手に取って触れた時、ひんやりした金属の質感や感触を感じられるようにしております。 ――手に持った時の重厚感はもちろんですが、手触りにもこだわっている 寺島氏:そうですね。例えば、肘や膝の関節ではそのままダイキャストが露出しているので、ガンメタリックのメッキの質感でダイキャストが使われているのがわかるかと思います。 「ガンダムEX」では腹部などは設定に合わせた白やベージュに塗装しておりますので、見た目からでは金属感が伝わりづらい部分になっています。しかし、手で持った時に「ここも金属だ!」と手触りでも合金を感じて、驚いていただきたいです。 製品版では成型色と塗装を合わせたもので、上述の腹部などの外装部分ダイキャストはソリッドカラーで塗装をする形になっています。 ――ダイキャストの使用で可動範囲や保持力の高さも期待できますね。可動についてはいかがでしょうか? 寺島氏:ダイキャストを使用した関節ならではの渋みや安定性は「超合金」シリーズの強みになっています。 「超合金」シリーズは“あまり動かない”という印象があるかと思いますが、「ガンダムEX」は劇中でも高い機動力を発揮し、動く機体デザインとなっているので膝の屈伸などはもちろん、一通りの劇中シーン再現ができるように作っております。 肩の構造解釈に関しても、監修時点で山根公利さんからのこだわりポイントが加わっています。試作では元々肩の白いアーマーと黒のフレームは一体化されていました。 そこから機体の解釈として、「黒のフレーム部分は別パーツであって肩アーマーが上がる時は分離する形になる」ので、「超合金」シリーズでは山根公利さんが考えられているものに近づけられたかと思います。 こうした部分も劇中のポージング再現や遊んでいるときの再現度の高い部分になるかと思います。 寺島氏:また、肩も“なで肩気味”を意識した造形になっています。ケレン味のあるカッコイイポーズを取らせる時は、いかり肩を意識したポージングにする方が多いかなと思いますが、「ガンダムEX」ではなで肩が特徴的で「あまり肩を上げないでほしい」とディレクションをいただきましたね。肩回りの構造やキャラクター性を出す意味でも特徴になっています。 ――劇中でも印象的なビーム・サーベルの抜刀アクションなどの再現も可能でしょうか? 寺島氏:肩の関節は引き出し構造が採用されているので、柔軟に可動します。また、「ガンダムEX」は腕部が長い設定になっているので、肩に腕を回してビーム・サーベルを手に取るアクションができます。 また、サーベルラックも特徴的なもので、アーム可動で前面に回すことができます。 ――右肩部のガトリングの可動はいかがでしょうか? 寺島氏:こちらも印象的な武器かと思います。設定上、バックパックのドラム型弾倉とガトリングが給弾ベルトで繋がっています。 ガトリングはフレキシブルに可動し、マウント状態から引き上げて前方に向けることができます。また、そこから銃身がスライドして、一段階前に出すことができます。また、付け根部分も水平軸のロールが入りますので、左右に向けたり、ロケットランチャーを構える際にも役立ちます。 寺島氏:給弾ベルトも3種類用意し、それぞれ軟質素材を使用しております。これによってマウント状態や展開時などガトリングと弾倉の位置関係に合わせて使い分けができます。 弾倉も回転するので給弾口位置が調整できます。給弾ベルトと合わせて劇中ポーズの再現に対応できるようになっています。 ――足裏部分に“親指”があるのも「ガンダムEX」ならではのデザインですね。 寺島氏:親指部分は引き出し機構が備わっています。つま先が傾斜で上がっている分、親指部分で水平になるようにデザインされています。 地に足を付けているときは展開していて、ジャンプ時には閉じることもできるので表情付けができるようになっています。 ――今回試作品を間近で拝見しまして、「超合金」のサイズ感はやはり迫力がありますね 寺島氏:そうですね。「超合金」ならではのサイズ感やダイキャストを使用した重厚感など感じていただき、作中の見るものを圧倒する恐怖感や強さも感じていただける商品になっているかと思います。 劇中でも人を見下ろす描写もあったりと、その迫力が出る遊び方ができるかと思います。 ――続いてLED発光ギミックについてお聞かせください。 寺島氏:「超合金」シリーズは歴代商品から単なる合金アクション玩具ではなく、一つ面白いギミックを入れているブランドになります。例えば合体や変形ギミック、音声、発光ギミックなどですね。 超合金「ガンダム」シリーズでは、これまでライティング(発光ギミック)という形で踏襲してきました。今回の「ガンダムEX」は作品的にも演出的にも「ツインアイが光り、悪魔的、死神のような視線を送るアクション」にマッチすると思いました。 ――確かに『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』に登場するモビルスーツは、表情の見せ方が強調されていましたね 寺島氏:そうですね。劇中の様な各カメラの部分発光再現はできませんでしたが、ツインアイの格子や細かい塗分けはしっかりとしておりますので、LEDの発光と合わせて迫力ある表情が楽しめると思います。 暗がりで発光させると、よりシーン再現が楽しくなるかと思います。 ――武装の演出も作品の魅力ですが、「超合金 ガンダムEX」の付属武装についてお聞かせください 寺島氏:そうですね。例えば、本商品でもビーム・サーベルの刃パーツは、劇中同様に根元に青いグラデーションが入っています。 「GUNDAM UNIVERSE」でも同様に青いグラデーション塗装が採用されていますが、「超合金 ガンダムEX」ではさらに刃がデコボコの造形をしております。ビーム・サーベルといえば、つるっとした刃が思い浮かぶかと思います。 『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』でのビームがぼやけて見える、ビームが放出されている感じが印象的でしたので、立体物で再現できないかとなり、本商品では刃の凹凸表現を採用しました。 ――今回、ビーム・ライフルに加えて、ロケットランチャーも付属しますが、こちらは本体の背面腰部にマウントできますか? 寺島氏:ビーム・ライフル、ロケットランチャーは各マウントパーツを使用して付けることができます。 劇中でもロケットランチャーの使用シーンは印象的で、その後背面腰部にマウントしていましたので「超合金」でも再現できるようにしました。 寺島氏:シールドも2種類のつけ方ができます。ジョイントパーツが2種類ありまして、本体の肘のディテールパーツを取り外して、ジョイントパーツを付けることができます。 ジョイントパーツは腕部側面とハンドパーツで持たせたオーソドックスな構えができるものと、L字型の前側にシールドを付けることができるものがあり、これによってシールドをフレキシブルに位置調整ができます。 「ガンダムEX」のシールドは大型なので「超合金」ならではの保持力と合わせてシールドを構えた姿も決まるようになっています。 ――最後にユーザーへのメッセージをお願いいたします。 寺島氏:現在『機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム』がNetflixにて世界独占配信されていますので、ぜひ見ていただきたいです。フル3Dによる映像でミリタリー感や泥臭さが感じられる作品になっています。 その中で「ガンダムEX」の魅力に気づいていただいて、「立体物が欲しいな」と思っていただいたときに「超合金 ガンダムEX」を選んでいただけるように作っております。 「超合金」シリーズでは『機動戦士ガンダム 水星の魔女』、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が展開され、そのノウハウを経て洗練された商品となっていると思います。手に取っていただいたお客様に満足いただける「ガンダムEX」になっていると思いますので、よろしくお願いいたします。 また、アメリカ・ニューヨークで開催された「ニューヨーク・コミコン2024」でも初展示され、11月15日からのイベント「TAMASHII NATION 2024」でも展示を予定しております。 ――ありがとうございました。 (C)SOTSU・SUNRISE ※画像は試作品を使用しています。実際の製品とは異なる場合がございます。ご了承ください。
HOBBY Watch,吉田航平