スペイン・バルセロナ市、短期賃貸住宅を規制…エアビーなどによる住宅不足・家賃高騰の対策として(海外)
バルセロナ市は住宅危機に対応するため、2029年までに短期賃貸を廃止する計画だ。 バルセロナの家賃は2018~2022年で36%上昇した。スペインでは賃貸住宅危機が拡大している。 反対派は、こうした禁止令が住宅の空き状況や家賃に大きく影響することはないと主張している。 バルセロナ市は、短期賃貸を廃止する計画だ。観光業が地元民を住宅市場から追い出しているという不満の声が上がっているためだ。 Airbnb(エアビーアンドビー)などのプラットフォームへの対策としてバルセロナ市は新たなライセンスの発行を停止し、発行済みのライセンスについても更新しないと市長のジャウマ・コルボニ(Jaume Collboni)は6月21日、記者会見で述べた。この措置によって2029年までに住宅の短期観光宿泊施設としての運営が全面的に禁止となる。 「これほどまでに多くのアパートを観光事業に使うことを、市として許可することはできない。今は住宅難であり、観光客の増え過ぎによる悪影響が明らかだ」とコルボニ市長は述べた。 スペインの他の都市と同様、バルセロナでも短期賃貸物件としての登録には、観光事業ライセンスの取得が必要だ。現在約1万戸が、観光客用として登録されている。 これは、スペインの自治体が住宅危機を緩和し、賃貸料の高騰を緩和するための最新の動きだ。バルセロナの家賃は2018年から2022年の間に36%上昇した。一方、首都マドリードでは16%アップだったとEYの不動産レポートは伝えている。 バルセロナには観光客が押し寄せ、短期滞在の人気スポットになっている。観光客の数は2012年の740万人から、2023年には1560万人に増加した。当局は過去数年、Airbnbや同様のプラットフォームと対立してきた。罰金を科したり、さまざまな規制を行ったりしたが、ライセンスを更新しないという新たな計画には、遠く及ばなかった。 Business Insiderは通常の営業時間外にメールでコメントを求めたが、Airbnbからの回答はなかった。 2023年4月、スペイン政府はこの問題に対処するため、歴史的な住宅法を制定した。家賃の値上げ制限、特別地域における価格制限、急な立ち退き要求の禁止も盛り込まれている。2024年初めには、非EU国籍者への「ゴールデン・ビザ」も廃止し、このビザプログラムが住宅供給への圧力に拍車をかけていると述べた。 だが、批評家らによると、今回のバルセロナの禁止令が賃貸住宅の危機を変えることは、ほぼできないという。 野党の政治家、ダミア・カルベ(Damià Calvet)は、1万戸のすべてが市場に戻るわけではないと述べた。 「1万戸全部が賃貸物件として使用できるとするのは現実的ではない」とカルベは地元メディアに述べた。カルベによると、ライセンスを持っているすべての住宅が実際に観光客に貸し出されている訳ではなく、オーナーの多くが、売りに出す時に備えて価値を付加するだけのために、ライセンスを保持している状態なのだという。 「観光客用アパートはバルセロナの賃貸物件の0.77%に過ぎない」とバルセロナ観光アパート協会(Barcelona Tourist Apartments Association)の会長、エンリケ・アルカンタラ(Enrique Alcántara)は政府の発表後にメディアに語り、「違法な観光客用賃貸を増やすだけだ」と付け加えた。
Shubhangi Goel