プーチン大統領…“最重要パートナー” の中国を訪問 国境の町ではビジネス拡大 学校では中国語を教育
日テレNEWS NNN
中国が掲げる巨大経済圏構想「一帯一路」に関する国際会議にあわせ、中国を訪れているロシアのプーチン大統領。今回の中国訪問には、両国の経済関係をさらに強化する狙いもあります。西側諸国との対立が深まるなか、ロシアにとってパートナーとしての中国の存在感は急速に高まっています。急速に中国との関係を深める、中国との国境の街を取材しました。 ◇ 17日午前の北京市内、一般車両を全て排除した厳戒態勢の中を車列が進んでいきました。その数36台。ロシアのプーチン大統領が北京に到着したのです。 記者 「襲撃などを防ぐ目的でしょうか、同型の車両が2台並んで走行していきます」 車列はそのまま、中国で最高クラスの賓客を迎える迎賓館へ入りました。 ウクライナ侵攻をめぐり国際刑事裁判所から逮捕状が出て以降、プーチン大統領が旧ソ連圏以外の国を訪問するのは初めてです。 主要な外交舞台復帰の第一弾として、中国を選んだプーチン大統領。ウクライナ侵攻により西側諸国と“断絶状態”にあるロシアにとって、今や中国は“最重要パートナー”なのです。訪中に先立って行われた中国メディアのインタビューでは、プーチン大統領が習主席を持ち上げる発言もありました。 ロシア プーチン大統領 「彼は間違いなく、世界に認められたリーダーのひとりです」 18日の首脳会談でも、ロシアと中国の“関係強化”を確認するとみられます。 ◇ こうしたなか、急速に中国との関係を深める街がありました。ロシアの極東地域にある、中国との国境の町、ブラゴベシチェンスクです。 記者(ロシア・ブラゴベシチェンスク、12日) 「このアムール川を挟んで500メートル向こう側は、中国・黒竜江省の黒河市です」 町には、至るところに中国人観光客の姿がありました。 ――食べ物で楽しみなのは? ロシアを訪れた中国人 「ロシアのバーベキュー!」 この町では、中国とのビジネス拡大に向けた動きが進められています。 去年6月には、両国を結ぶ初の「道路橋」が開通しました。プーチン大統領、“肝いりの事業”で、中国との“物流の大動脈”として期待を寄せています。現在は“物資の運搬”のみですが、来年から“人の往来”も可能になります。 より中国が身近になるなか、「中国語を子どもに習わせたい」と考える親が増え、語学学校の生徒も増えているといいます。去年からは、市内すべての学校でも、行政のトップダウンで「中国語」を教えるようになりました。 孔子学院 クハレンコ所長 「この地域は中国との協力が欠かせず、住民が中国語を話せることは非常に重要だと、行政のトップが言っています」 ◇ 市内の卸売市場を訪れると、そこに続々と運び込まれていたのは中国産の品物です。 そのわけは、橋の開通を受けて今年5月に設置された、税関と物流を1つにした施設です。 記者 「中国からのトラックがたくさんとまっています」 それまで、中国からこの地域への貨物の輸送は、1500キロ離れたウラジオストクを経由していましたが、新たな橋と施設によって、大幅に短縮されたのです。 今年の中露の貿易額は、前年に比べて約3割も増加し、着実に成果を出しています。 地元のビジネスマン 「経済など様々な分野で両国が協力すれば、ロシアにとって利益になると思います」 川をはさんだ隣国・中国に熱い視線を向けるプーチン大統領。したたかに、苦境を乗り切ろうとしています。