ゴールする西山雄介（撮影・吉澤敬太）

　「東京マラソン」（３日、東京都庁～東京駅前） 　今夏のパリ五輪代表の男子の最終選考会を兼ねて行われ、２２年世界選手権代表の西山雄介（２９）＝トヨタ自動車＝が自己ベストの２時間６分３１秒で日本勢トップの９位となったが、ＭＧＣファイナル設定記録（２時間５分５０秒）を突破できず。パリ五輪代表入りは逃した。この結果、昨秋のＭＧＣで３位だった大迫傑（ナイキ）が２大会連続五輪代表に内定した。キプルト（ケニア）が２時間２分１６秒で優勝した。 【写真】右肘に血滲む痛々しい姿　集団転倒のアクシデントに巻き込まれた西山雄介 　レースは前世界記録保持者（２時間１分９秒）で、五輪２連覇のエリウド・キプチョゲ（ケニア）ら世界屈指の選手が揃う海外招待選手がスタートから世界新ペースを刻み、日本勢は日本記録ペースで設定された第２集団につけて、争った。 　日本歴代３位の記録を持つ山下一貴（三菱重工）が８キロで遅れ、日本記録保持者の鈴木健吾（富士通）も２７キロ過ぎに脱落。そんな波乱の展開の中で、西山は２０キロ手前で転倒するアクシデントがあったものの、執念の走りで３３キロで日本勢トップに。その後も必死に粘ったが、わずかに届かなかった。 　西山はゴールとともに、手で顔を覆うと、崩れ落ち号泣した。その後、テントで椅子に座ったが、涙は止まらなかった。 　レース後は「オリンピックに行きたかったです。そこは本当に５分５０秒を切らないと意味がないので悔しいです。五輪に行きたい気持ちでいくしかないと思っていた。僕にとって最後の五輪挑戦だと思っていた。またゆっくりして考えたい」と、涙ながらに語った。右肘には血が滲んでいたが、転倒の影響については「転倒した時に逆に気持ちを切り替えられた。冷静に対処できた。腕とか痛かったけど少しずつ痛みも引けてきた。特に影響したことはない」と、否定した。