早明浦ダムで観光船プロジェクト 「ダムの恩恵を受けるのは下流に住む我々」と徳島から村おこし企画
高知県の早明浦(さめうら)ダムの完成と共に、大川村の中心部がダム湖に沈んでおよそ50年。 今度は、過疎化に沈みそうな村を元気にしたいと、徳島市の男性が観光船を運航するプロジェクトを進めています。
■「村を元気にしたい」ある男性の取り組み
青空のもとで雄大な姿を見せる“四国の水がめ”、「早明浦ダム」。 ここに「観光船を」とプロジェクトを進めているのは…。 【NPO法人 新町川を守る会 中村英雄さん】「今日は(川岸で)マルシェをしよるねぇ」 早明浦ダムから100キロ以上下流にある、徳島市内を流れる川で観光船を運航している中村英雄さん(85歳)です。 この新町川は、今では多くの徳島市民や観光客が訪れる街のシンボルですが、以前はゴミと悪臭の川でした。 そんな状況を変えようと、中村さんは34年前、地元有志と共に「新町川を守る会」を結成。ヘドロまみれのゴミや自転車などを拾い上げ、水質の浄化に尽力してきました。 こうして新町川をよみがえらせた中村さんが次に思いを寄せたのは、その水源にある大川村のこと。 「早明浦ダムで観光船を運航して、村を元気にしたい」と考えるようになりました。 【NPO法人 新町川を守る会 中村英雄さん】「上流・下流の交流会というのを今は何十年も続けてるんですけどね。昭和40年ぐらいだったら(人口が)4000人ぐらいいた大川村がどんどん減ってきて、今350人ぐらいやね。こうなってきたら、どないかしないかんと思ってね」
■観光船は7月6日から運行開始
そして6月、クラウドファンディングで資金を募り始め…。 週末には徳島市から大川村へ出かけ、観光船の運航の準備をしています。 【NPO法人 新町川を守る会 中村英雄さん】「ダムの恩恵を実際に受けているのは下流の人なんですよ。ダムができた時は皆『ありがとう、ありがとう』と言っていたが、できて何十年もたってしまうと当たり前になってくる。だけど下流の者が(振興を)やっていく。そういう日本じゃなかったらいかんのじゃないかな」 「ダムの周りに古民家なんかもたくさんあるからね。そういうところを改良して、森を散歩できるような所を作ったりもできんかなあと」 Q.どんどん夢が広がりますね。 【NPO法人 新町川を守る会 中村英雄さん】「うーん。そんなんばっかりですよ(笑)」 村おこしのアイディアが尽きない中村さん。 観光船の発着地点は、大川村役場近くに設けられ、7月6日から土日・祝日の運航が始まります。 クラウドファンディングは、まだ目標額に達しておらず、中村さんたちは賛同する人に協力を呼びかけています。
関西テレビ