球界を牽引する「1983年生まれ」の指導者たち 前代未聞の画期的「野球教室」が実現できるまで
いま、球界では「1983年生まれ」の指導者が活躍している。 プロ野球では、楽天の今江 敏晃新監督(PL学園)、高校球界では仙台育英の須江 航監督(仙台育英)、作新学院の小針 崇宏監督(作新学院)、京都国際の小牧 憲継監督(京都成章)、彩星工科の平田 徹監督(横浜)らがいる。理論派の指導者が多く、その指導に注目が集まっている。 【一覧】1983年世代の主な指導者 こうした指導者たちが集まってできたのが「高校野球指導者58年会」である。きっかけは彩星工科の平田監督が2015年秋、渡辺 元智監督のあとを継いで横浜の監督に就任したことだった。名門野球部の指揮を執る平田監督を励ますために同世代の仲間が集まったのだ。 その後、コロナ禍で交流が絶えた時期もあったが、須江監督が22年夏に仙台育英で甲子園優勝を達成したことを契機に交流が再開。昨年は仙台で懇親会を開いた。 その懇親会の席上、立命館宇治の里井 祥吾監督から「指導者向けの野球教室を開催してみたい」という提案があり、「58年会」は動き出した。
「指導者向け野球教室」の開催場所は当初近畿地区が検討されたが、参加者の交通の便も考えて、愛知県に決定した。 里井監督が実行委員長に就任。名古屋経済大の荻巣 幹典監督、享栄の日野 隆徳部長が中心となって準備を始めた。愛知高野連の許可のもと、トヨタ自動車の佐竹 功年投手(土庄)など同世代の野球人に声をかけた。 参加対象となる愛知県の若手指導者への声掛けは、愛知の飛田 陵佑監督が行った。結果、総勢50人以上の参加が決定。これには里井監督も「こんなに集まるとは思いませんでした。飛田先生に感謝ですね。須江も語っていましたが、愛知の指導者は熱心な方が本当に多いなと思いました」と驚いた様子だった。 球界では世代ごとの指導者の懇親会が行われることは多いというが、野球教室の開催は異例。里井監督は「この世代の指導者のLINEグループは100人以上もいます。この世代でこうした事もできると証明したかったんです。自己満足かもしれませんが、今回のイベントは大成功だったと思います」と語る。 来年は関東で懇親会の開催は決定。野球教室も開催を検討している。 球界を牽引する「83年世代」の指導者たちの活躍に注目だ。