やくみつるが最若手? 時事ネタの4コマ漫画、存亡の危機「現役で描いてる方、ほとんどいない」打開策は?
■新聞や雑誌の定番だった、社会や風刺を描く4コマ漫画 TBSラジオ「ナイツのちゃきちゃき大放送」に、漫画家のやくみつる氏が生出演。4コマ漫画業界の現状について、「現役で描いてらっしゃる方、ほとんどいない」と業界の衰退と未来を不安視するコメントが話題となっている。 【写真人気4コマ漫画『ぼっち・ざ・ろっく!』後藤ひとりの魅力が詰まったグッズやTシャツ 新聞などで見かける時事漫画は、社会を風刺する、いわば漫画の原点ともいえるジャンル。しかし、やく氏は、時事漫画に後継がいないと指摘し、「1番割の合わないジャンル」と語り、「ネタを量産しなければいけない」と苦悩を口にした。 実際、自身が手掛ける紙面連載では、やく氏が最若手なのだという。やく氏は現役バリバリの漫画家であるが、現在65歳だ。このことからも、時事漫画にいかに後継がいないのかがよくわかる。 4コマ漫画は、かつて漫画雑誌には必ずと言っていいほど掲載されていた。そのため、ギャグマンガ家は4コマ漫画専門の作家もいたし、4コマ漫画によって技術を磨くストーリー漫画家も少なくなかった。 ところが、2000年代に入ると、雑誌の部数が急激に減少していく。出版不況が叫ばれるようになり、休刊する雑誌も相次いだ。発表の場が激減しただけでなく、原稿料の単価も安く、単行本にまとめるためには本数を相当書かなければならない。印税頼みで稼ぐことも難しいため、次第に衰退していったといわれる。 ■4コマ漫画が健在の分野もあるが…… その一方で、2000年代後半から2010年代にかけて台頭してきたのが、『けいおん!』や、最近では『ぼっち・ざ・ろっく!』などのヒットを連発している「きらら」系の4コマ漫画である。 しかし、「きらら」系は4コマ漫画という体裁はとっているものの、実際は話が続きものになっている例が多く、実質的にストーリー漫画と言っていい。そのため、従来のような4コマ漫画とは異なるジャンルと考えるべきだろう。 Xなどのネットでは4コマ漫画が健在である。しかし、商業的な媒体では風前の灯となっているのは間違いないだろう。そして、やく氏が語るように、時事漫画としての4コマ漫画はほとんど生き残っていないといえる。 手塚治虫は、4コマ漫画は漫画の基礎を学ぶ上で最適なものと話している。確かに、起承転結の漫画の原理を習得するためには、最適なツールだ。また、政治家の似顔絵を描くことは、キャラづくりや画力の向上を図るうえでも役立つという意見もある。 競争相手が少ないなか、ヒットが出れば時事漫画のスターになれる可能性もある。若い人はどんどん4コマ漫画にチャレンジすべきであろう。
元城健