石破首相に敗れた8人、再挑戦見据えじわり始動…非主流は勉強会や地方回り・主流は露出高め実績づくり
昨年9月の自民党総裁選で石破首相(党総裁)に敗れた8人が、再挑戦を見据えた活動を徐々に活発化させている。党内で衆目の一致する「ポスト石破」がいない中、首相と距離を置く非主流派は独自に足場固めを急ぎ、主流派は露出を高めつつ実績を積み重ねて影響力を強める構えだ。 【図表】総裁選出馬9人の政治資金収入
非主流
総裁選5位だった小林鷹之・元経済安全保障相は9日、経済安保関連の党本部の会合であいさつし、日本製鉄のUSスチール買収計画を巡り「中止すれば米国にとって国家安全保障上の懸念に該当する」と米政府に異議を唱えた。
小林氏は総裁選後、党広報本部長ポストを固辞して非主流派となった。昨年12月には、2050年に目指すべき国家像などを議論する勉強会を発足させており、党内では「いずれ政策集団に育っていく」(若手)との見方が出ている。
決選投票で敗れた高市早苗・前経済安保相も石破政権で要職を外れたが、昨年11月下旬から地方回りを強化。昨年12月20日発売の月刊誌では「全て一からやり直しだ。歯を食いしばってもう一回、まわろうと思っている」と強調した。
保守色の強い党員からの支持が厚い高市氏は、現時点では「党内が混乱していると見られる」(側近)として表立った政権批判を控えているが、選択的夫婦別姓制度で石破首相が推進に傾いた場合、反対派の急先鋒(せんぽう)となる可能性がある。
閣僚経験が豊富な茂木敏充・前幹事長も非主流派に転じた一人だ。安倍政権時代に外相などで日米貿易協議をまとめた実績を生かし、通常国会中に米欧政治などの勉強会を発足させる予定で、トランプ米次期政権をにらんで存在感を発揮したい考えとみられる。
主流
一方、政権内で実績を残して後継をうかがう代表格が、林官房長官だ。連日の記者会見での安定感には定評があり、9日は物価高対策について「総合経済対策の裏付けとなる補正予算を迅速かつ適切に執行していく」と述べた。
林氏は総裁選で4位に食い込んだことで、所属した旧岸田派内で「『ポスト石破』を狙える位置につけた」との期待感が出ている。1月下旬には総裁選で支援を受けた議員による夜会合を予定しており、党内の基盤作りに励んでいる。