１９５４年のワールドシリーズ、インディアンス戦で相手の中飛を好捕するメイズ（ＡＰ）

　メジャー３２９３安打を誇る伝説的な外野手のウィリー・メイズさんが１８日（日本時間１９日）、死去した。９３歳だった。米大リーグ機構が発表した。メジャーリーグ通算６６０本塁打を放ち、守っても１２年連続ゴールドグラブ賞を獲得した「史上最高の万能選手」と呼ばれた男の死去に全米が悲しんだ。 　“パーフェクト・プレーヤー”として名をはせた伝説の名手、メイズさんが、９３年の生涯を閉じた。ジャイアンツは家族らに囲まれる中で安らかに逝去したと発表した。 　メジャーのレジェンドとなるキャリアのスタートは黒人リーグだった。黒人初のメジャーリーガーとして知られるＪ・ロビンソンが１９４５年に初めてドジャースと契約してから５年、メイズさんも当時ニューヨークが本拠だったジャイアンツと契約した。 　５１年にジ軍でデビュー。打率２割７分４厘、２０本塁打、６８打点の活躍で新人王受賞し、同年のリーグ制覇に貢献した。１年半の兵役を務めた後の５４年に打率３割４分５厘で首位打者を獲得。同年に語り継がれるプレーが生まれた。 　インディアンス（現ガーディアンズ）とのワールドシリーズ第１戦。中堅が深いポログラウンドで、１４０メートルほど伸びたＶ・ワーツの飛球を背走しながら捕球した。「ザ・キャッチ」。現在も外野手の美技を指す言葉に使われるほどだ。 　５５年に５１発で初の本塁打王など、通算本塁打は歴代６位の６６０本、通算打率３割１厘、３３９盗塁と史上最高の５ツールプレーヤー（ミート力、長打力、走力、守備力、送球力を兼ね備えた選手）と言われた。そのプレーぶりをマンフレッド・コミッショナーは「我々はこの“真の巨人”を決して忘れることはないだろう」と偲（しの）ぶほどだ。ＭＶＰ２度、本塁打王４度、盗塁王４度、１２年連続ゴールドグラブ賞。オールスター戦でも２度ＭＶＰに輝いている。 　２０日には、黒人リーグ時代に使用されたアラバマ州リックウッドフィールドでジャイアンツ・カージナルス戦が組まれ、メイズさんもセレモニーにゲスト出演する予定だった。急転、悲しい追悼の場になる。 　◆ウィリー・メイズ（Ｗｉｌｌｉｅ　Ｍａｙｓ）１９３１年５月６日、米アラバマ州生まれ。黒人リーグ在籍時の５０年にジャイアンツが獲得。５１年に新人王、約１年半の兵役から戻った５４年には首位打者を獲得しＭＶＰ。本塁打王と盗塁王をともに４度。５７年から始まったゴールドグラブ賞は１２年連続受賞。７２年にメッツに移籍。翌年ワールドシリーズ出場を最後に引退。７９年に野球殿堂入り。現役時代は１８０センチ、８０キロ。右投右打。