追い風から逆風に 破れた希望、小池氏の誤算
●小池氏自体の信用が失われた
希望の党の敗因について、政治学が専門の中央大学経済学部・佐々木信夫教授は「都政を投げ出し、都議選の再来を前面に出して国政にまい進しようとした小池氏の態度に、みな不信感を抱いたのでは。小池氏の誤算は『柳の下にドジョウが2匹いる』と都民および有権者をなめてかかったこと。若狭勝氏がテレビで敗因を述べていたが、準備時間の少なさや、やり方の問題よりも、やはり小池さんの信用が失われたのが一番大きいんじゃないか」と手厳しい。 「東京以外に小池待望論などなかったのに、『私が総理、スターだ』というおごりに、みな嫌悪感を抱いた結果ではないか。『選挙ファースト』だけで、都知事としての仕事上の実績がない、という点を彼女は自覚できていない」 今後、小池氏はどうすべきか。佐々木氏は「任期中、都知事に専念すべきだ」と助言する。「国政の方が上というイメージを持っているかもしれないが、東京都は国税の4割を集めるほどの都市であり、都知事は決して軽いポストではない。その重さを実感して、都知事として成功することが小池さんの価値を高める」と述べる。 希望の党についても、役職にはつかず、一切手を引くべきだという。「東京大改革に取り組むということなら、ヘルメットを被って現場もまわりながら、地道に仕事をするということじゃないか。『小池百合子よ変われ』と言いたいね」。 衆院選で、希望の党は公示前の57議席を下回る50議席という敗北を喫した。佐々木氏は「これで完全に逆風になった。有権者の風を失うと、小池さんの推進力はなくなる。官僚組織も、申し訳ないが小池さんの方についていない」と小池都政の先行きも案じる。 25日の希望の党懇談会後の会見。小池氏は新聞報道で支持率が下がったことを記者からただされると、「まだまだ希望がございます」と語った。 (取材・文:具志堅浩二)