越前の甲冑師、超絶技巧 「明珍」展開幕 福井市郷土歴博
代々福井藩主越前松平家のお抱え甲冑(かっちゅう)師だった「越前明珍(みょうちん)」こと明珍吉久に焦点を当てた特別展「鉄(くろがね)の名工 越前明珍」(福井新聞社共催)が10月19日、福井市立郷土歴史博物館で開幕した。独創的な甲冑やさまざまな生き物などの精巧な置物が並び、来場者は越前の職人の超絶技巧に目を見張っていた。12月1日まで。 明珍は室町時代から関東で活躍した甲冑師の流派で、江戸時代に各地に分派した。特別展では明珍吉久や全国の明珍派の名工の作品など約60点を紹介する。 4代目明珍吉久作とされる「魚鱗(ぎょりん)具足」は、袖や胴部分が魚のうろこのような鉄板「魚鱗札(ざね)」を鋲(びょう)で連結した他に類を見ない作りで、独創性や技術力の高さがうかがえる。 「自在置物」は、鉄のパーツをいくつも組み合わせてコイやエビ、龍などを精巧に再現している。関節部分を自在に動かすことができるのも特徴で、実際に動かしている映像が会場で流され、来場者の関心を集めていた。坂井市の女性は「自在置物は顔の表情などに作者の個性が表れていて面白かった」と話していた。 26日は見どころ講座、11月16日には魚鱗具足をペーパークラフトで作るワークショップがある。問い合わせは福井市立郷土歴史博物館=電話0776(21)0489。