留学生を鎖や南京錠で拘束、日本語学校への処分は「適法」…地裁「一職員の行為だが組織として黙認」
ベトナム人留学生を鎖や南京錠で拘束して人権を侵害したとして、国が日本語学校「西日本国際教育学院」(福岡市南区)の留学生の受け入れを5年間認めない処分を出した問題で、運営する学校法人宮田学園(同)が国に処分の取り消しを求めた訴訟の判決が3日、福岡地裁であった。林史高裁判長は「一職員の行為だが、組織として黙認されていた」として処分は適法とし、原告側の請求を棄却した。
訴訟を巡っては、2022年9月、当時は「組織的な人権侵害が行われていると認められる資料がない」として、福岡地裁が判決まで処分の効力を停止する決定を出した。また、元職員が逮捕監禁容疑で書類送検されたが、不起訴(起訴猶予)となった。
判決によると、元職員は21年10月、職員室で暴れた留学生を椅子に座らせ、留学生と職員のベルトを鎖に通してつなぎ南京錠で施錠して約2時間拘束。職員室に他にいた複数の職員も止めずに放置した。林裁判長は「人権侵害の程度は高く、悪質性、重大性は否定しがたい」と指摘した。