マイケル・コースのCEO、親会社の買収に関する裁判で“正直すぎる”発言を連発
なお、カプリの24年3月期決算は、売上高が前期比8.0%減の51億7000万ドル(約7393億円)、営業損益は前年の6億7900万ドル(約970億円)の黒字から2億4100万ドル(約344億円)の赤字に、純損益も6億1900万ドル(約885億円)の黒字から2億2900万ドル(約327億円)の赤字となっている。ブランド別に見ると、特にアジア太平洋地域や南北アメリカで不調だった「マイケル・コース」の売上高は同9.2%減の35億2200万ドル(約5036億円)だった。
マイケル・コースの業績悪化の要因とは?
法廷には、さまざまな内部資料も提出された。それには、マイケル・コースの業績悪化の要因として、値引きによるブランド毀損、希少性の低さ、類似した価格帯のブランドとの熾烈な競争、二次流通市場の隆盛に加えて、店舗のリニューアルを怠ったことによる“時代遅れ感”、「マイケル・コース コレクション(MICHAEL KORS COLLECTION)」と「マイケル マイケル・コース(MICHAEL MICHAEL KORS)」の差別化不足、社員やスタッフの間に徒労感が蔓延している恐れがあることなど、数多くの問題点が挙げられている。
こうした事態を受け、ウィルモットCEOは、「マイケル・コース」のリブランディング、デザインや商品開発の強化、店舗のリニューアル、“手が届く価格帯”の中での高級化、“どこでも売っている”状況を脱するための販売網の見直しなどの戦略を打ち出したが、「実行できているとは言い難い」と説明。「設備投資やマーケティングの予算が大幅にカットされたこともあり、多くの施策が停滞している。当社の変革は、タペストリーに委ねたほうがいいように思う。消費者のデータ分析など、さまざまな面で彼らは私たちの何光年も先を行っている」と心情を吐露した。
今回の証言が裁判の行方に与える影響は未知数だが、9月30日(現地時間)に本セクションの最終弁論が行われる予定だ。