なぜトランプは「グリーンランドが欲しい」とまた言い張っているのか 米国にとって重要な2つの理由
米国のドナルド・トランプ次期大統領が、「国家安全保障と世界の自由のために、米国はグリーンランドの所有権と支配権が絶対に必要だと思っている」と主張した。これに対しグリーンランド自治政府は「われわれは売り物ではないし、売り物には決してならない」と反発している。 【画像】そりをひく犬たちに餌を与えるグリーンランドの狩人 トランプは大統領1期目のときにもグリーンランドの買収に関心があると発言し、同島を領有するデンマークが反発した経緯がある。 だが、なぜトランプはグリーンランドを欲しがっているのか。米紙「ワシントン・ポスト」が、この問いに答えている。 同紙はまず、グリーンランドを所有することは米国にとって国家安全保障上の目的があるとするトランプの発言に着目する。 米軍は事実、グリーンランドに「ビドゥフィーク宇宙基地」を持っており、同紙によれば、米宇宙軍がここはミサイル防衛と宇宙監視のミッションにとって戦略的に重要な場所だと述べているという。この基地が立てられたのは、冷戦時代初期のことだ。 天然資源が豊富であることも、トランプがこの島を欲しがる理由のひとつだと同紙は指摘する。天然資源は石油や、ネオジムやジスプロシウムといったレアアース鉱物などで、英国王立化学会によると、この2つのレアアース鉱物は中国とロシア原産である場合が多いという。 米国はこれまでにもグリーンランドを買おうとしたことがあると同紙は指摘する。 アンドリュー・ジョンソン政権が1860年代に作成を命じた報告書では、天然資源が豊富なグリーンランドを買うのは戦略的な投資になるかもしれないとの見解が示されたが、この案は具体化しなかった。 また第二次世界大戦の直後、ハリー・トルーマン政権が1億ドル(1946年当時の為替レートでは15億円)でこの島を買いたいと提案したとも同紙は述べている。
COURRiER Japon