「やられた。気持ち悪い」絶対的存在のコーチから受けた性暴力 トラウマ消えぬまま
息子は「冷たい態度を取られたり、きつい指導を受けたりするのが怖く、断れなかった」と家族に打ち明けた。別のバトン競技団体の関係者は容疑者について「世界的に知られた選手。生徒たちからすれば、逆らうことは許されない存在」と話す。 大学生となった息子は今なお、性被害を思い出すと、全身にじんましんが出るなどトラウマに苦しみ続けている。今年に入ってようやく「バトンがしたい」と意欲が出てきたが、以前のように長時間の練習はできず、つらい思いを抱えたままだ。父親はやり場のない憤りから語気を強めた。「人として選手としての大切な時間を奪われた。なぜ、こんな目に遭わなければならないのか」 ◇ 華麗な演技で人を魅了するバトントワリングの有名コーチによる性暴力事件。事態を把握した日本バトン協会のずさんな対応も被害者本人や家族に追い打ちをかけた。被害の深刻さと、あるべき対応を考えたい。