「空を照らす緑色の光…」 ロシア各地で「正体不明の閃光」の目撃が相次ぐ…パルチザンが関与か?
<SNSにいくつもの動画が投稿されている「ロシア国内で目撃された謎の光」の正体は、攻撃を受けた電力施設の爆発?>
最近、ロシアの首都モスクワをはじめ、複数の地域で謎の緑色の閃光や爆発が相次いで目撃されている。その瞬間を捉えた動画がいくつもインターネット上に出回っており、光の正体をめぐってさまざまな憶測を呼んでいる。 「空を照らす緑色の光…」 ロシア各地で「正体不明の閃光」の目撃が相次ぐ…パルチザンが関与か? ここ数日、ロシアではソーシャルメディアに明るい閃光を捉えた動画が投稿されており、これらの現象は多くの場合、ロシア国内やロシアが併合したウクライナの領土にある変電所の近くで起きたものとされている。 独占映像や速報を伝えるロシアのテレグラムチャンネル「ショット」によれば、1月30日にはモスクワの南に位置する工業都市ポドルスクの住民らが、早朝に「アシッドグリーン(鮮やかな黄緑色)の閃光」が見えたと報告した。この閃光を目撃した人々は、「上空に異常な現象」が起きたのを見たが、その原因は「謎」とされている。 一方で同じ日、ロシアの独立系メディア「アストラ」は、モスクワ州シェルビンカ地区(ポドルスクのすぐ北に位置する)の変電所で爆発があったと報じた。アストラは「原因は不明」だとし、建物が密集している地域にある施設から2つの明るい閃光が放たれる様子を捉えた短い動画をインターネット上に投稿した。 1月29日にはウクライナの軍事ブロガーであるイゴール・スシュコが、ロシア西部のチェリャビンスクにある変電所で起きた爆発とみられる動画を共有。「周辺一帯が停電になった」とつけ加えた。 ロシアのニュースサイト「74.RU」は、一連の閃光に続いて、チェリャビンスク周辺のコミュニティーが停電に見舞われたが、停電は数時間で解消されたと伝えた。 ■ロシア国内で相次ぐ工場や電力施設の爆発 どうやらロシア国内で相次いで目撃されている「謎の閃光」は、電力施設の爆発によるもののようだ。 アストラとウクライナの報道機関は1月23日、太平洋に面した港湾都市ウラジオストクにある「2つの変電所で爆発と火災」が同時に発生したと報道。火災の原因は分かっていないとし、2つの施設から複数の閃光が見える動画を公開した。 またロシア語の独立系ニュースサイト「メドゥーサ」は1月に入ってから、シベリアのノボシビルスクにある「暖房ネットワークで、1週間で2度目の大きな事故」があったと報道。これにより161超の共同住宅が影響を受けたということだ。 また先週は、ロシアが実効支配するウクライナ東部のドネツクの一部地域でも、ウクライナ軍のドローンが変電所に激突したことを受けて停電が発生したと示唆する複数の報道があった。 ■ウクライナはロシアの変電所を攻撃しているのか 電気設備での一連の爆発や火災の報道は、ロシア全土の工業施設や発電所で記録的な数の火災が発生しているなかで浮上したものだ。オープンソース調査機関の「モルファー」によれば、ロシアでは2023年に同様の火災が939件(うち5件はモスクワ)発生しており、2022年の416件から125%超増加している。 これらの爆発の背景に何があるのか、またそれぞれの爆発同士に関連があるのかどうかは分かっていない。インターネット上では、ウクライナを支持しロシアに反発するパルチザン(民間人による軍事組織)が一部関与しているのではないかという憶測も浮上している。ロシアのあるパルチザンとつながりがあるテレグラムチャンネルは、1月30日にモスクワのシェルビンカ地区で起きた爆発は破壊工作の可能性があるとほのめかした。 ウクライナはロシア側からの攻撃に対して報復に出ており、ロシアの石油取引の拠点や交通インフラなどを標的にした攻撃もその一環という見方もある。 国際的にロシアの領土と認められている地域に対する攻撃についてウクライナが、自分たちが行ったものだと認めることは滅多にない。それでもウクライナ保安庁のある人物(匿名)は2023年9月、米ワシントン・ポスト紙に対して、ウクライナが国境地帯の近くにあるロシアの変電所に「攻撃を行い、成功した」と述べている。
エリー・クック