チャールズ国王、訪問中のオーストラリアで議員の抗議を受ける「あなたは私の王ではない」
現在オーストラリアを訪問中のチャールズ国王とカミラ王妃。即位後初の訪問ということもあり、各地で大歓迎を受けている。そんな中、式典で議員から抗議を受けるという事件が起きた。 【写真】チャールズ国王がパパの表情を見せたレアなスナップ集
事件が起きたのは現地時間10月21日(月)。国王は王妃と共にキャンベラにある国会議事堂を訪問、歓迎式典に出席した。国王は壇上で議員たちに向けてスピーチをした。国王が話し終えた直後、リディア・ソープ上院議員が国王に向かって「あなたは私たちの民族を集団虐殺した」と大きな声で叫びはじめた。
ソープ議員はアボリジニにルーツを持つ。「私たちから盗んだものを返せ、私たちの骨、私たちの頭蓋骨、私たちの赤ちゃん、私たちの人々」「あなたは私たちの土地を破壊した。私たちと条約を結べ。私たちは条約を求めている」とステージに向かって歩きながら声を上げた。ソ議員は議場から外に連れ出されたが、その間も「ここはあなたの国ではない。あなたは私たちの王ではない」と叫び続けた。
国王も王妃もたじろいだ様子は見せず、式典はそのまま終了。国王と王妃はその後2人を歓迎しようと議事堂の周りに集まりっていた人たちと対面したと報じられている。ちなみにその中にはアボリジニにルーツを持つ人もいたという。新聞「デイリーメール」が報じている。
ソープ議員は議事堂で起こした騒ぎの様子を自らインスタグラムに動画で投稿している。議員は長年、先住民族とオーストラリア政府の条約締結を目標に掲げて活動している。ニュージーランドをはじめ旧英国植民地の多くでは、政府が先住民族と土地や主権に関する条約を結んでいるが、オーストラリアでは条約が締結されたことがない。
同紙によるとソープ議員はこの日の早朝、国王夫妻のオーストラリア訪問に反対する抗議活動に参加、逮捕されそうになっていた。オーストラリア戦争記念館の前に先住民族のグループが集まり「ここはこれまでもこれからもアボリジニの土地だ」と抗議していたが、議員もその中にいた。彼女は警官と言い争いになり、一時は警官にシャツを掴まれるところまでヒートアップ。議員は警官の手を振り払うと、その場を去ったという。
英国王室はこの事件に対して正式にコメントしていない。しかしある王室関係者は「国王も王妃も1日を通して温かく迎えられたことに深く感動していた」と同紙に話し、ソープ議員の事件には影響を受けていないとアピールしている。