阪神水道汚職事件 贈賄側の見積額で価格決定か 逮捕の職員、落札に便宜を図る?
阪神水道企業団(神戸市東灘区)が発注した浄水場の補修工事を巡る贈収賄事件で、収賄容疑で逮捕された猪名川浄水場管理事務所主査の男(46)が、贈賄側の業者から提示された見積額を基に、同工事の入札予定価格を決めていた疑いのあることが14日、捜査関係者らへの取材で分かった。兵庫県警は、意図的に見積額を入札予定価格に設定することで、落札しやすいように便宜を図ったとみて調べる。 【写真】これはもしや…希少な「かくれ滝」では! 水量が豊富なときだけ見られます 問題となっているのは、9月初旬にあった尼崎浄水場(尼崎市)内のアスファルト舗装補修工事の条件付き一般競争入札。入札に参加した5社のうち、贈賄容疑で逮捕された男(52)が役員を務める土木工事会社「金山組」(尼崎市)だけが、入札下限額に当たる「最低制限価格」を上回る金額で落札し、同価格を下回った残り4社は失格となった。 捜査関係者らによると、同企業団はこの入札前に、予定価格を定める参考として、3社で「見積もり合わせ」を実施。入札の実質的な担当者だった奈良容疑者が、3社に金山組を含め、提示された同社の見積額を採用し、予定価格を決めたとみられる。 同企業団では、浄水場内の施設修繕工事について、入札で業者を選定する場合、原則3社以上の業者から見積もり合わせを行い、最低価格の見積額を参考にし、予定価格を決めてきたという。 県警は、猪名川浄水場管理事務所主査の男がこうした独特の手順を悪用し、特定の業者に便宜を図った可能性があるとみて調べている。 県警によると、猪名川浄水場管理事務所主査の男は金山組が受注できるように便宜を図った見返りとして現金20万円を受け取った疑いが持たれている。県警は14日、同企業団の本庁舎など2カ所を捜索した。