『情熱大陸』作家・北方謙三に密着 人生最後の大長編に挑む姿を追う
9月22日(日)放送の『情熱大陸』(MBS/TBS系 午後11時~11時30分)は、作家・北方謙三に密着する。 「おい、タカハシ!」 文学界のレジェンドは、取材が進むと、ディレクターを呼び捨てにした。 幾度と密着取材をしてきたが、初めての経験。だが、悪い気がしない。自然とそう思わせる好漢が北方謙三だ。 コワモテで力強い目。真っすぐ見つめられると背筋が伸びるが、ユーモアたっぷりの語り口と人懐っこい笑顔は人を惹きつける。 言わずと知れた巨匠だが、貪欲なまでの創作意欲は駆け出しの頃から変わらない。これまで出版した小説の単行本は220冊を数える。 しかし、その足跡は紆余曲折の連続だった。 学生時代に純文学作家として注目されるも、その後10年間、不遇の時代を過ごす。 肉体労働のアルバイトで妻子を養いながら小説を書き続けた。けれど出版社に持参しては突き返される日々。ボツ原稿だけが山積みとなっていった。 「最初は自分を天才だと思った。徐々に自信をなくしていき、最後は石ころに過ぎないと思うようになった。でも、そこからが本当の勝負だった」 番組では、これまでの全著作をスタジオに集め、ロングインタビューを敢行。 ライバル・中上健次との出会い。ハードボイルド作家としての“再デビュー”。 創作の舞台を歴史小説に移した理由。小説家として生き抜く秘訣。 そして、人生最後の大長編と位置付ける、新たな歴史小説を書き始める姿にも密着。執筆に当たっての必需品の数々。取材旅行で見えてきた意外な着眼点などから、作家・北方謙三の頭の中が、少しずつ明らかになっていく。 23年間務めた直木賞の選考委員を辞し、トレードマークの葉巻を辞め、愛車マセラッティを手放して免許も返納した。全ては小説を書くために。 「書きたくて、体がムズムズ、心がムズムズ。俺はまだ生き切っていない」 誰よりも言葉の力を信じる男の、熱き情熱がほとばしる。 <プロフィール> 1947年 佐賀県唐津市生まれ。中央大学法学部卒。 1981年「弔鐘はるかなり」で単行本デビュー。 “月刊キタカタ”と呼ばれるほどの多作で、毎月のようにハードボイルド小説を刊行する。「眠りなき夜」で吉川英治文学新人賞、「渇きの街」で日本推理作家協会賞。 1989年「武王の門」で初の歴史小説に挑戦し、「破軍の星」で柴田錬三郎賞。 当初は日本の南北朝時代に題材を得ていたが、次第に中国史にも手を拡げ、「三国志」(全13巻)や「水滸伝」(全19巻)など数年がかりの大長編を執筆。 今年6月には、14年ぶりの現代小説「黄昏のために」を出版。 独特の人生観を語るエッセーも人気で、特に雑誌「ホットドックプレス」で1986年から16年間続いた青春相談「試みの地平線」でのユニークな回答の数々は、今や伝説となっている。
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