攻守のバランス構築に苦労した印象。システム変更の采配は良かった。正統派ウイング不在は今後も想定しなければならない
落ち着いたのは[3-4-2-1]に変更してから
被カウンターのリスク。この件は後半になっても、サイドカウンターで遠藤航が振り切られるなど、終始落ち着かなかった。これではサイド攻撃に人数をかけづらいのも、サイドで高い位置を取りにくいのも、無理はない。 落ち着いたのは、74分に[3-4-2-1]に変更してからだった。谷口彰悟を加えた3人のセンターバックが思い切って球際で勝負できるだけでなく、ポゼッション時のリスク管理が明確になった。後ろの幅を3人でカバーするので、サイドが高い位置を取りやすい。 このシステム変更は多様に効いた。リードが1点しかなかったこともあり、日本はリスクを回避するために、ロングキックを選択する傾向が強くなっていた。鈴木彩艶から上田綺世への長距離ルートは開通していたが、いつも成功する選択肢ではない。どうしてもセカンドボールを拾われ、押し込まれがちになる。 それならサイドからスピードに乗って押し込まれるよりは、守備は5バックで構えて予めスペースを消したほうがいい。システム変更後は、北朝鮮の縦へのスピードが明らかに下がった。采配は良かった。 攻守のバランス。これまでは伊東純也や三笘薫がウイングにいて、1人で勝負してくれたため、バランスが崩れにくかった。しかし、今のメンバーではそうもいかないので、サイド突破に人数をかけよう、となれば、被カウンターのリスクが高まる。 逆にそれを強く警戒すれば、実際にそうだったように、得点力が下がる。こうした攻守のバランス構築に、63分まで苦労した印象だ。 正統派ウイング不在の試合は、今後も想定しなければならない。次はもっと上手くやりたいところだ。 取材・文●清水英斗(サッカーライター)