OECD、債券市場の危険性を警告-満期の壁が迫る
(ブルームバーグ): 世界の債券市場は大きな課題に直面している。今後3年間に約40%の債務が満期を迎え借り換えが必要になるからだ。経済協力開発機構(OECD)が指摘した。
OECDは7日に発表した報告書で、加盟38カ国の政府債務総額が今年2兆ドル(約296兆円)増加し、過去最高の56兆ドルに達すると推計した。
2008-22年にかけての有利な資金調達条件によって、政府や企業は低コストに借り入れができたとOECDは指摘。しかし、世界のソブリン債の約40%、社債の37%が26年までに満期を迎える。
中央銀行がインフレ抑制に成功したとしても、発行体はそれまでに高い借り入れコストで債務の大半をロールオーバーする可能性が高いという。
一方、中銀は債券の保有を縮小しており、価格に敏感な投資家が記録的な水準の純供給を吸収することになる。
OECDのマティアス・コーマン事務総長は声明で「インフレ率の上昇と金融政策の引き締めという新たなマクロ経済情勢は、ここ数十年見られなかったペースで世界の債券市場を変容させている」と説明。
「市場監督当局は、企業セクターにおける債務の持続可能性と金融セクターにおける全体的なエクスポージャーの両方を注意深く監視する必要がある」と論じた。
OECDは、幾つかの加盟国を含む高債務国は、金利上昇、成長鈍化、赤字拡大という「負のフィードバックループに直面する可能性がある」と警告した。
「リスクテークが大幅に増加している」金融以外の企業セクターをを潜在的な圧迫要因として挙げた。
報告書によると、23年末時点で非金融企業が発行した投資適格債の53%は「BBB」と格付けされている。投資適格社債に占めるBBBの割合は2000年以降、2倍以上に増えているという。
一方、高レバレッジの指標であるEBITDA(利払い・税・減価償却・償却控除前利益)に対する負債の比率が2倍を超えるBBB格の債券の割合は、08年の11%から23年には42%に跳ね上がったことがOECDの調査でわかった。