「地鳴り」掲載150回へ 加賀の蒔絵師82歳山下さん きょう「ペンの日」
●「読んだよ」励みに12年 ●心臓大手術も乗り越え 北國新聞朝刊の投書欄「地鳴り」に投稿を続ける加賀市別所町の蒔絵師(まきえし)、山下脩平さん(82)が2012年11月の初掲載からあと1回で150回を迎える。古希を機に認知症予防のつもりで始めて12年。紙面に載る度に知人らから「読んだよ」と声を掛けられるのを励みに心臓の大手術も乗り越えた。26日は「ペンの日」。山下さんは90歳までに200回の目標を掲げ、衰えぬ執筆意欲で原稿用紙に向かっている。 ●目標は200回 山下さんは月3回の投稿を自らに課し、これまでに計270本を書いた。掲載された149回の紙面を全てスクラップし、丁寧につづったアルバムは4冊目に入った。原稿も未掲載の120本を含め、全て保管している。 投稿では現代美術展など美術関係の話題をよく取り上げる。掲載されると、スーパーで近所の人に声を掛けられたり、友人や知人から電話があったり、反響は大きい。しばらく掲載されないと心配して連絡が入るという山下さんは「読んでくれている人に届けたいと思うようになり、書き続けてきた」と語る。 7年前に心臓に四つある弁膜のうち、三つが機能しなくなり、心臓の大手術を受けた。2カ月間の療養中も「早く退院して書きたい一心だった」という。 投稿を始めてから市中央図書館に月2回は通って読書し、北國新聞は毎日隅から隅まで目を通す。10年前から別所地区まちづくり推進協議会が毎月発行する広報紙のコラムも執筆している。 蒔絵師の職業柄、水彩や水墨、油彩の多彩な絵画を趣味で楽しむ。1959(昭和34)年には旧山中町の町紋章の公募に出品し、高校2年の山下さんの作品が採用され、2005年の合併まで使われた。地鳴りの紙面に自作の卯(う)年の図案が掲載されたこともある。 山下さんは「書くことを楽しみながら、読んでくれる人の感想を励みに投書を続けたい」と話した。