「アメリカの手足」となった日本を襲う最悪すぎる「副作用」…
「安全保障を専門とするジャーナリストとして20年以上活動してきた中で、 今ほど戦争の危機を感じる時はありません。」 【写真】日本にも「ミサイル」配備されるか? 知らぬ間に「米国のミサイル基地」と化している日本の現状に、 安全保障の専門家たちが一斉に警鐘を鳴らす! 石破茂政権に注目が集まる「いま」こそ知っておきたい、 日米安保をめぐる「衝撃のウラ側」が、 『従属の代償 日米軍事一体化の真実』で明らかになる。 ※本記事は布施祐仁『従属の代償 日米軍事一体化の真実』から抜粋・編集したものです。
「安全保障のジレンマ」に陥らないために
日本が戦場になり、核戦争を引き起こす危険もある米中戦争だけは絶対に回避しなければなりません。 日米両政府は軍備を増強することによって中国の台湾侵攻を抑止し、戦争を予防するというスタンスです。 私も、自衛のための必要最小限の軍備は必要だと考えています。しかし、軍備増強には抑止力を高めるという「効能」だけでなく、重大な「副作用」もあるという事実を忘れてはなりません。 中国の台湾侵攻を抑止する目的で日米や台湾が軍備を増強すれば、台湾の独立と米国の干渉を絶対に認めないと主張している中国もこれに対抗して軍備を増強します。際限のない軍拡競争となり、軍事的緊張は高まるばかりです。軍事的緊張が高まれば、ナイが警鐘を鳴らす「計算違いによる衝突」のリスクも増大します。 このように、抑止力を高めるための軍備強化がかえって戦争のリスクを増大させてしまう事象を、「安全保障のジレンマ」と呼びます。
軍備増強の「副作用」
安全保障のジレンマに陥らないためには、軍備増強の副作用にもしっかりと目を向ける必要があります。抑止力強化一辺倒になるのではなく、外交によって緊張を緩和し、衝突を予防する努力が重要です。 薬も、効能だけ見て副作用を無視して過剰に服用すれば、命取りになります。安全保障についても同じことが言えます。今の日本の安全保障政策は、軍事力の抑止力の側面を絶対視し、軍事的緊張を高めるという副作用を無視しているように見えます。抑止力強化一辺倒の安全保障政策は、現実を直視したリアリズムとは言えません。 また、抑止力強化一辺倒の安全保障政策は日本の財政状況から見ても現実的ではありません。 中国と際限のない軍拡競争を繰り広げることになれば、防衛費はどんどん膨れ上がっていきます。日本政府は2027年度までに防衛費をGDPの2%まで増やす方針ですが、それでは済まない可能性もあります。実際、米国の安全保障専門家からは、日本は防衛費をGDPの3%まで増やすべきだという主張が早くも出ています。 すでに日本の国債発行残高は1000兆円を超え、GDPに対する政府債務残高の比率は250%超とG7の中で断トツに最悪な状況となっています。 この上さらに防衛費が膨らんでいけば、仮に抑止がうまくいって戦争にならなかったとしても、財政が破綻し経済的な危機に陥るおそれがあります。 そうならないためにも、緊張を緩和し、軍拡競争を抑制するための外交が重要です。 >>議論の内容をさらに詳しく知りたい方は「「台湾有事」衝撃の結果予測!唐突すぎる「方針転換」に相次ぐ怒りの声「聞いてない」」もお読みください。
布施 祐仁(ジャーナリスト)