トランプ氏の勝因は何か、「有権者の怒り」「人工中絶」「有色人種層」がカギに
選挙前の世論調査では、展開が見通せないほど接戦になるとみられていた。だがトランプ前大統領はその予想を覆し、開票から一夜明ける前に、当選に必要な選挙人270人を確保した。さらに得票数でも民主党のハリス副大統領を約500万票上回った。トランプ氏の勝因は何だったのか。出口調査から見えてきたのは、「有権者の怒り」「人工中絶」「有色人種層」がカギとなったことだ。 <有権者の怒り> 米国民は米南部国境を越えてやってくる不法移民の問題と、そして何よりも物価高騰に不満を抱いていた。 調査会社エジソン・リサーチが実施した出口調査では、全米の有権者の4分の3が、国が悪い方向に向かっていると考えていることが示された。こうした回答をした人のうち61%がトランプ氏に投票した。 また自らを「怒り」を感じているとする有権者のうち、71%が共和党を支持した。経済を最も懸念する有権者のうち、79%がトランプ氏に投票した。 <女性有権者> 中絶の問題に関しても、中絶はほとんどの場合において合法であるべきだと考える人のうち、ハリス氏を支持したのはわずか51%で、47%がトランプ氏を支持した。 トランプ氏はこの問題で自らの立場をあいまいにすることで、民主党最大の優位性のひとつを打ち消す結果となったことを示唆している。トランプ氏は連邦法による中絶禁止には反対だが、この問題に関して各州が自由に法律を制定できると述べていた。 同氏はまた、保険会社が体外受精(IVF)治療の費用を負担するよう訴えた。 黒人女性は圧倒的にハリス氏を支持したが、世論調査では郊外の白人女性有権者の間でトランプ氏がわずかに優勢であることが示された。 全体としてハリス氏は女性票の54%を獲得したが、これは2020年のバイデン氏の57%よりも低い。 <男性有権者> トランプ氏の陣営はソーシャルメディア、スポーツ、ポッドキャスト、オンラインゲームを通じて男性有権者、特に若い男性の支持を獲得することに重点を置いた。 同氏は、18歳から44歳の男性層ではハリス氏を僅差で上回った。そして45歳以上の層で決定的な支持を獲得した。 <有色人種の有権者> トランプ陣営は黒人やラテン系有権者の支持を獲得するために多大な努力を払ってきた。 ノースカロライナ州では、出口調査でトランプ氏の黒人票の獲得率が前回2020年の選挙時の5%から、12%に上昇したことが示された。 同氏はまた、ネバダ州やアリゾナ州のような激戦州でラテン系有権者、とりわけ男性の支持を大きく伸ばした。これにより、2020年と比べてトランプ氏が白人有権者の支持を一部失ったことを補うことができた。