『海外挑戦のススメ』 ハリウッドで活躍するクリエイター
日本においては、CGに対して、ネガティブな印象もある。「『どうせ、CGでしょ』、って言われることがあると思います。でも、そのCGって、実はすごい労力をかけて表現しているということをわかってほしいですね。質の良くないCGがあったことが、ネガティブな印象にさせてしまったのかもしれないが、CGで表現することの魅力を感じてほしい」と力を込める。 そんな三橋さんだが、渡米前から自信があったわけではない。「日本にいると、(ハリウッドを)神格化していたところがあった。自分は足元にも及ばない、と思っていたけど気がつくと、ある程度のところにいた。臆病にならずに行ってみると、向こうの人も日本人に対して“おっかなびっくり”だったりもする」と話す。若い世代に対しても海外挑戦を勧める。「1度、日本を出てチャンスを作ることができるなら、ぜひトライしてほしい。日本もこれからは海外から人が入ってくる。海外の人との競争を、これからの若者には要求される。語学やコミュニケーション力を培うにも海外挑戦はいいことだと思う」。 実は三橋さんは、名俳優・三橋達也を父に持ち、この業界には精通しているはずだが、『トイストーリー』に出会ったのは、ビデオ店でのアルバイトがきっかけ。自らの好奇心と行動力で道を切り開いてきた。俳優業に関しても「あまり関心がなかったですね。僕の祖父が活版の仕事をしていて、どちらかというと、その血を受け継いだんだと思います」と話すほど、父からの影響ではなく、自分自身の意思で海を渡ってやってきている。 まだまだ就職難と言われる時代。周囲に合わせるように自分の方向性を決めるのではなく、三橋さんのように夢に向かって、海を渡って挑戦することも1つの選択肢なのかもしれない。 ■三橋忠央(みはし・ただお) 映像クリエイター。日本の大学を卒業後、サンフランシスコの美大Academy of Art College(現・University)の大学院を卒業。ハリウッド映画のVFX(ビジュアル・エフェックス)制作を行う。これまでに『マトリックス・リローデッド』、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2009年)など、数々の作品に携わる。今回の『マレフィセント』では、アンジェリーナ・ジョリー演じるマレフィセントの翼を担当。父は俳優の三橋達也。 ■『マレフィセント』予告編