2年がかりで410足のわらぞうりを納品 下條村匠の会【長野県】
正月の門松や小正月飾りをはじめ、各地の祭りで使用されるわらぞうりづくりなどを手掛ける長野県下條村の伝統継承団体「ふるさと匠の会」(塩沢悟会長)は24日、名古屋市守山区で5年に一度開かれる「大森郷祭」で使用するわらぞうり410足を、祭りを支援する大森共存会(竹内進会長)へ納めた。 大森郷祭は、大人から子どもまで約500人が江戸時代の町人衣装で行列を組んで地区内を練り歩き、飾馬などを八劔神社に奉納する。今年は10月20日に行われる。 共存会によると、かつては地元でわらぞうりを作っていたが、作り手がいなくなり、2014年から匠の会に製作を依頼するようになった。大森郷祭の他、毎年の演舞で使用するぞうりも匠の会が作っているという。 この日は竹内会長ら共存会のメンバー5人が来村し、あしたむらんど下條でわらぞうりを受け取った。竹内会長は「地元で作れる人が誰もいなくなり、散々探して引き受けてくれたのが匠の会だった。大変助かっている」と感謝し、「5年に一度のお祭りをぜひ見に来て、われわれのお祭りへの思いを知ってもらえれば」と呼び掛けた。 匠の会では毎年、飯田市座光寺の「麻績神社春祭り」に際してわらぞうりの製作を手掛ける他、かつては「飯田お練りまつり」でも多くの注文を受けていた。 現在、ぞうりを編むことができる会員は5人。今回は2年前に注文を受け、昨年に納品した分も含めて計560足を各会員がこつこつと作り続けてきた。 中心となって製作を進めた前会長の伊藤善人さん(92)は「ただ作ればいい訳ではない。見栄え良く喜んでもらえるわらじを作っていかなければ」と強調。塩沢会長は「大きなお祭りに使われるとあって皆やりがいになっている」とした一方、「作れる人が減り、材料の丈の長いわらの確保も難しくなっている。それを踏まえて製作の計画を練り、作り続けられればいい」と話していた。