川に「臭い泡」が次々と流れてくる… 野菜が腐ったような悪臭、住民を悩ますモコモコの正体は?
「何なのか調べてほしい」
長野県岡谷市川岸中の天竜川沿いで暮らす男性(75)から「天竜川にモコモコした泡がたくさん流れてとても臭い。何なのか調べてほしい」との声が信濃毎日新聞社諏訪支社に寄せられた。 【写真】川に次々と流れてくる茶色っぽい泡
一時は30センチほどまで積み重なる
声を寄せた男性が自宅前を流れる天竜川の泡に気付いたのは、9月29日の朝。諏訪湖がある上流側から次々と泡が流れ、川にせり出した木の枝や石に引っかかり、一時は30センチほどの高さにまで泡は積み重なったという。
汚水が流れ出た?と心配に
「野菜が腐ったような臭い。黄色い泡もあり、(下水道を処理する諏訪市豊田の)豊田終末処理場から汚水が流れ出たのではと心配になった」と男性は話す。
「年に数回見る」との証言も
男性からの情報を受け、同30日、記者は天竜川沿いを歩いてみた。川のよどみなどに白や茶色の泡があるのが分かった。川沿いで長年暮らす別の男性(86)も「年に数回、泡を見る。何とも言えない嫌な臭いがする」と話す。
正体は…
県や岡谷市によると、泡は水草や植物プランクトンなどに由来する「多糖類」によるものとみられ、合成洗剤といった人為的なものではないとしている。
プランクトンが死んで腐った?
29日、現地で泡を確認した岡谷市環境課の担当者らによると、泡の原因とみられる多糖類は、風などで撹拌(かくはん)されて発生した泡を壊れにくくする性質がある。諏訪湖でできた泡に加え、諏訪湖の水が釜口水門から天竜川に流れ出た時の落差で泡が発生し「泡の中のプランクトンなどが死んで腐り、臭いが出たのでは」と推測する。
漁業や健康への被害、確認されず
県諏訪地域振興局環境課によると、豊田終末処理場でのトラブルや工場排水の流出、泡による漁業や健康への被害は確認されていない。
正体が判明「安心した」
質問を寄せた男性は「安心した。でもあの臭いものが流れたと思うと、天竜川の下流の人が心配です」と話していた。(春原彩花)