錦織のワウリンカ撃破を豪メディアは「全豪に勢い」と評価もシビアな見方も
テニスのブリスベン国際が7日、豪州のブリスベンで行われ、男子シングルス準決勝で、世界ランキング5位の錦織圭(27、日清食品)が同4位のスタン・ワウリンカ(31、スイス)を7―6、6―3のストレートで下して大会初の決勝進出を決めた。試合時間は1時間41分。日本時間の8日に予定されている決勝の相手は、同17位のディミトロフ(ブルガリア)で過去の対戦成績は3勝0敗となっている。 錦織は全豪オープンの前哨戦とも言える大会で最高のスタートを切ったが、この結果を受けて、オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルド紙は、「錦織圭は、ブリスベン国際で初の決勝に進出し、全豪オープンに向けて弾みをつけた」という見出しの記事を掲載した。 同記事では「錦織は、ブリスベン国際で世界ランキング4位のスタン・ワウリンカを7-6、6-3で破り、日曜日に世界17位のブルガリア人選手グリゴール・ディミトロフを相手に決勝を戦う権利を得たことで素晴らしい今季のスタートを切った」と、準決勝のワウリンカ戦を評価。 錦織の決勝の対戦相手となるディミトロフについて「昨年の覇者であり、世界ランキング3位のミロス・ラオニッチを7-6、6-2で破る、番狂わせを起こしたことで自らを決勝まで進めた。ラオニッチは、その前日の夜にラファエル・ナダルを破ったことで優勝候補の最右翼として見られていたが、ディミトロフは素晴らしいリターンを繰り返し、カナダ人のラオニッチを90分で退陣させていた」と紹介した。 そして錦織に関して「錦織は、まだグランドスラムで優勝していない上位ランクの選手の一人。しかしブリスベンでの日曜日の決勝に勝つことができれば、このあとのシドニーでのエキシビションゲームを経て全豪オープンに臨む上で、大きな弾みとなるだろう」とし、ワウンリンカ戦の後の錦織の「3度グランドスラムで優勝しているワウリンカを破ったことは、決勝の結果がどうであれ大きい」というコメントを掲載した。 ただ同記事では、来たる全豪に向けては、「日本の世界ランキング5位の錦織圭が、もし2017年のグランドスラムでタイトルを目指すならば、重要人物であるアンディ・マレーと、ノバク・ジョコビッチを倒さなければならない」というシビアな見方をしており、「特に錦織に対して11勝2敗で、2014年に遡り過去10度の対戦で錦織を破っているジョコビッチを倒す方法を見出さない限りは、それ(グラウンドスラム制覇の野望)も水の泡となってしまう」という厳しい展望を伝えた。 同時に「スタン(ワウリンカ)を破ったことで、今年最初の大会でいいスタートが切れたことを嬉しく思う。自分のサービスゲームで、自身にいくらかのプレッシャーを感じていた。でもタイブレークになるまで厳しく耐え忍ぶことができた。この(勝利で)自信を得たことは確か。でも自分の目標は、ノバク(ジョコビッチ)とアンディ(マレー)を破ること。この二人は去年のツアーから今最も支配力をふるっている選手だと思う。特にノバク。僕は昨年7度ぐらい彼に負けた。だから次は彼を倒したい」という錦織のコメントも紹介して、全豪で乗り越えなければならない壁を、錦織自身が理解していることを示した。 錦織にとって、ブリスベン国際で準決勝を戦ったのは3度目で、決勝進出は初。打倒・ジョコビッチ、マレーを果たして初のグランドスラム制覇という夢を達成するためにも、まもなく始まる決勝で頂点に立って、さらなる勢いをつけたいところだろう。