「決して消えない記憶」に悩む青年が遺族を救う?“特殊清掃”と“特殊能力”の組み合わせの妙に唸る漫画『記憶遺棄』作者を直撃
些細なことからトラウマまで、決して忘れらない記憶に苦しむ青年・憲が事件に巻き込まれていく姿を描いた可惜夜季央(あたらよきお)(@atarayokio)さんの漫画『記憶遺棄』。“シャッターアイ”という見たものを画像のように記憶する憲の特殊能力だけでなく、彼が従事する特殊清掃の仕事の描写などが高く評価され、「第87回ちばてつや賞」では期待賞を受賞し話題となっている。今回、作者の可惜夜季央さんに話を伺った。 【漫画】ゴミの中から遺体が…!? ■「“記憶”と“残置物”の組み合わせは良さそうだなと思ったのがきっかけです」 憲の“特殊能力”と“特殊清掃”という仕事が複合的に交わりながら物語が進行していく本作。可惜夜季央さんは、「最初はゴミとかごちゃごちゃしたものを描きたくて、いつか遺品整理や特殊清掃とかのお話を描きたいなって思ってはいました。 瞬間記憶能力の話は全く別の設定で描こうとしていたんですが、なかなかまとまりそうもないなーと思っていたところに、母がYouTubeで遺品整理のチャンネルを観ていて、“記憶”と“残置物”の組み合わせは結構よさそうだなと思って描いてみたのがきっかけです」と着想のきっかけを明かす。 本作で「第87回ちばてつや賞」の期待賞を受賞したことについては、「すごくうれしいです。自分は変わらず自分の好きなものを描き続けていてよかったんだなと思えました。(審査員からは)キャラクターが魅力的に描けていて、設定やアイデアが秀逸、興味をそそられる演出ができている、と言っていただけました。 キャラクターを考える時間が一番好きで、そこを褒めていただけて、キャラたちの会話が飽きないという言葉もいただけました。自分のしたかったことでちゃんと楽しんでもらえているんだということがわかってとてもうれしかったです」と振り返った。 本作を描くにあたりテーマにしていたことを尋ねると、「人の多面性というか、はたから見てごく普通の人が、実は変な人だったり、すごい能力がある人だったり、物凄い経験をしてる人だったり、サイコパスだったり、そういった外面からは想像もつかない“ある一面”をどんな風に見つけて、見せていこうかな、みたいなことはいつもテーマというか楽しみたいし楽しんでほしいと思っているところです」と語ってくれた。 取材協力:可惜夜季央(@atarayokio)