モナコで苦戦の南野拓実はW杯で戦力となるのか?
ザルツブルク(オーストリア)からリバプールに加入して以来、特に攻撃陣にタレントが集まる名門クラブのなかで出場機会が限られてきた。それでも昨シーズンはカップ戦を中心に、公式戦で10ゴールをマーク。8度目の優勝を果たしたFAカップでは出場4試合で3ゴールをあげて、大会のベストイレブンに選出された。 リバプールとの契約を2年間残している状況で、しかし、南野は最初に関心を示してくれたモナコへの完全移籍を決めた。リーグアンでプレーするGK川島永嗣(ストラスブール)や、プレー経験のあるDF酒井宏樹(浦和レッズ)から受けた、リバプールとの決別を決めるに至ったアドバイスの内容を7月の加入会見でこう語っている。 「プレーのスピードがとても速いし、成長するには完璧なリーグだと言われました」 しかし、シーズン序盤で早くも正念場を迎えてしまった。理由のひとつにリバプールでなかなか試合に絡めなかった状況がある。南野自身もかつてこう語っていた。 「選手としてここまで試合に出るのが難しい時間が続く状況はなかったので、コンディションを整えるとか、悔しさをどうつなげていくかがすごく難しかった」 もうひとつは、モナコで起用されているポジションにある。 ピッチに立ったここまでの6試合は、左右のサイドハーフやウイングが中心だった。ペナルティーエリア内でのポジショニングに長け、シュートの上手さを併せ持つ南野は、対照的にトラップやパス、ドリブルは凡庸なレベルにある。 ゆえに中央でプレーした方が存在感を発揮できる。それでもサイドで起用されるのは、連続して仕掛けるプレスを厭わない献身性が期待される部分が大きい。守備面での貢献度と引き換えになる形で、攻撃面では存在感が失われる。 南野をめぐる状況は、森保ジャパンにもそのまま当てはまる。 鎌田大地(アイントラハト・フランクフルト)の台頭に伴って、南野のポジションはトップ下から左サイドハーフに移り、システムが「4-2-3-1」から「4-3-3」に変更された昨秋以降は左ウイングが主戦場となっている。 しかし、右ウイングで群を抜く存在感を放った伊東純也(当時ヘンク、現スタッド・ランス)と比べて、どうしても試合の流れから消えがちになる。森保ジャパンで最多の17ゴールを決めている南野が、アジア最終予選に限ればわずか1ゴールに終わったのは、起用されたポジションと決して無関係ではなかったはずだ。 ヨーロッパを視察中の森保監督は、今月2日にドイツから応じたオンライン取材のなかで、モナコで苦戦を強いられている南野に対して次のように言及していた。 「いまはまさに拓実の存在感を見せて、チームのなかで他の選手と連携、連動しながらクオリティーを上げているところ。助っ人として加入しているので、チームの結果も降りかかってくる。彼はこれまでも厳しい環境を乗り越えてきた。拓実がいい選手なのは間違いないので、しっかり乗り越えていくことを見せ続けてほしい」