ハイタッチを交わしながら退場する見延

　パリ五輪フェンシング日本代表の見延和靖（３７）が２３日、沼津市立原中学校を訪れ、「夢の実現に向けて」と題した講演を行った。中嶋記恵子校長が法大フェンシング部の先輩という縁で実現したもので、代表合宿を誘致するなど「フェンシングを通じたまちづくり」を進める沼津市も協力。選手村での食生活や、オフの過ごし方などに全校生徒約３００人が聞き入った。 　見延は１６年のリオから３大会連続で五輪に出場。男子エペ団体で東京で金メダル、パリでは銀メダルを獲得した。だが競技を始めたのは高校からで、小学生時代は空手、中学ではバレーボールをやっていた。「当時は負けず嫌いで、負けることや努力することが恥ずかしく、チャレンジできない子供だった」という。 　それがフェンシングで変わった。「一歩踏み出すのは勇気がいるけれど、次の２歩目、３歩目は楽に出せる。考え方ひとつで道は開ける。可能性は無限大。僕にとってのフェンシングが皆さんにもあれば、と思います」と語りかけた。 　講演後はスマートフェンシングで生徒たちや先生と対戦。「自分の可能性を信じて夢を実現して」とメッセージを送った。東京五輪を見て沼津フェンシングクラブで競技を始めた土屋碧人くん（３年）は「見延選手より早く始めた僕もオリンピックを目指せるかな」。剣を交えた中嶋梨乃さん（３年）も「テレビで見ていた人が、目の前にいて圧倒されました」と感激していた。（里見　祐司）