大逆風の小池都知事に活路は? 夢の〝国政再進出〟へ暗雲 「その先」につながる分岐点、目黒区長選と衆院東京15区補選
【ニュース裏表 安積明子】 東京都の小池百合子知事が、苦境に立たされている。 21日投開票の東京・目黒区長選で、自身が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が推す、元都議の伊藤悠氏が落選したのだ。伊藤氏は小池氏に近く、都民ファーストの会共同代表も務めていた。 【写真】小池百合子都知事のカイロ大の卒業証書と卒業証明書 小池氏は、国民民主党の玉木雄一郎代表とともに、伊藤氏を「目黒の新しいリーダー」と持ち上げていた。大きく落胆したに違いない。 首長ポストは、地方政治を制し、国政にも影響力を発揮するうえでの〝生命線〟だ。小池氏は支援する人物を相次いで首長に送り込んできた。 都民ファーストの会の都議だった樋口高顕(たかあき)千代田区長、都幹部だった高際(たかぎわ)みゆき豊島区長と大久保朋果(ともか)江東区長、そして自民党が強い多摩地区で大勢待利明青梅市長を誕生させるなど、都内首長選で敵なしの情勢だった。 岸田文雄内閣の支持率が「危険水域」をさまよい、自民党派閥の裏金事件も〝大炎上〟するなか、江東区長選や八王子市長選では、自民、公明両党との〝共同戦線〟で勝ち抜き、国政与党に貸しを作ったとも指摘されていた。 「国政進出」の噂が絶えない小池氏だけに、目黒区長選や、衆院東京15区補選は「その先」につながるターニングポイントだった。 だが、雲行きは怪しい。 選挙直前、都民ファーストの会政務調査会事務総長も務めた元側近の小島敏郎氏が、月刊誌『文藝春秋』5月号で、小池氏の「学歴詐称工作疑惑」を告発したのだ。小池氏とカイロで同居したという北原百代氏も告発に踏み切った。 小池氏への追及が強まるなか、9人が出馬する激戦の東京15区補選では、都民ファーストの会が推す無所属、乙武洋匡氏の戦況が芳しくない。一時は小池氏自身の出馬もささやかれた同補選で、今回も自公と共同戦線を張れば、勝利は近づく公算だった。 だが、乙武氏の過去の不倫スキャンダルに公明党が難色を示した。さらに、乙武氏が「自公の推薦を求めない」と述べたことに自民党地元組織が激怒、推薦は見送られた。 小池氏は過去に、ボタンの掛け違いで手痛い敗北を喫した経験がある。2017年の衆院選で、小池新党「希望の党」に合流を希望した旧民進党議員をめぐり、「(左派は)排除する」と発言したことが猛反発を受け、優位だった情勢が一転、惨敗となった。