今年の東京オートサロン エンジンへのこだわり
日産自動車はEV「アリア」のスポーツバージョン「NISMO(ニスモ)」仕様を発表しましたが、周囲はGT-R、フェアレディZのエンジン車が囲みます。一方、マツダはバイオ燃料を使うレース参加車両を出展していました。ボンネットには以前、小欄でも取材した「ユーグレナ」の文字が入っていました。
環境対応の工夫は完成車メーカーにとどまりません。チューニングパーツメーカー「HKS」のブースにあったのは1台のトヨタ・ハイエース、オリジナルはエンジン車のみですが、この車両は変速機などを改造し、ハイブリッド車としていました。具体的にはエンジンをエクステンダー=発電機として活用するもので、PHEV(プラグインハイブリッド)に属します。
発電用のエンジンの燃料は天然ガスの使用を想定しているということです。とことんカーボン・ニュートラルにこだわった一台。担当者は「新たな分野への取り組み」と話します。現時点では公道の走行はできませんが、将来は完成車メーカー以外でもこうした形の電動化対応が可能になっていくかも知れません。
一方、昔懐かしいクルマに、ロータリーエンジンを載せてしまうという“荒業”を見せるブースも。それがマツダの往年の軽自動車「シャンテ」。製作したのは長野県に本社を持つ郷田鈑金、いわゆる「街の板金屋さん」です。漫画『よろしくメカドック』に登場したロータリーエンジン搭載のシャンテを「ただ、つくってみたかった」と話す担当者。しかし、製作には完成車メーカー、マツダの力が必要だったと言います。
マツダは昨年9月、SUVタイプの「MX30」に「ロータリーEV」と称するPHEV(プラグインハイブリッド)を発表しました。ロータリーエンジンを発電機としてモーターを回すものです。昨年のジャパンモビリティショーでは「ロータリーEV」のスポーツカーも出展しました。世界で唯一実用化したロータリーエンジンが時代に合わせて蘇りました。つまり、関連部品も進化した上で継続されることになります。ロータリーシャンテのような車をつくるにはこれが必要というわけです。 ロータリーエンジンと言えば、かつて「ガス喰い」と言われ、オイルショックで壊滅的な打撃を受けた歴史がありますが、本来、環境面では有利なエンジンです。当初マツダはロータリーエンジン搭載車にAP(Anti Pollution)というサブネームがつき、「低公害車」とされていました。発電機としての活用で未来を切り開くのか……楽しみな技術です。