大統領逮捕当日も日和見主義なチェ権限代行…「非常戒厳に反対した」は本当か
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が逮捕された15日にも、チェ・サンモク大統領権限代行副首相兼企画財政部長官は日和見主義的な態度を続けた。 この半月の間、尹大統領と警護処による令状執行拒否を放置してきたチェ権限代行は、この日午前5時20分ごろ、指示事項を伝える中で「警察庁と警護処との間で物理的衝突が発生した場合、厳しく責任を問う」と述べた。大統領官邸を要塞化した警護処が連日銃器を手に武力示威を行うという一触即発の状況にあって、最小限の安全を確保するために防弾服を着用して官邸の敷地内に入る警察に対しても、「衝突が起きたら責任を問う」と述べたのだ。 野党、市民社会団体、法曹界などは、チェ権限代行は国政の最大の不安要因である尹大統領による「官邸籠城」を傍観していることで、不確実性を長期化させていると批判してきた。あげくの果てにチェ代行は、「現行の法律体系の中では、公捜処と警護処との対立の出口を突破するのは難しい」(10日)と述べつつ、尹大統領の逮捕に事実上反対の立場を明らかにしていた。共に民主党は、警護処に協力を指示しないチェ代行を職務放棄で告発している。同党のイ・ジェミョン代表は「大韓民国を最も不安にさせている主犯こそチェ・サンモク」だと批判した。 チェ権限代行はこの日、国会で行われた「尹錫悦政権の非常戒厳宣布を通じた内乱容疑真相究明国政調査特別委員会」で証人に採用されていたにもかかわらず、外交日程などを理由に欠席した。チェ代行は12・3戒厳宣布の直後、尹大統領から「国会解散後、非常立法機関の設置のための予備費を確保せよ」と記されたメモを受け取っていたことから、「戒厳関与疑惑」がきれいに解消されているわけではない。 企画財政部はチェ権限代行の出席に代わる国会への業務報告で、「チェ・サンモク副首相は非常戒厳宣布に強い反対の意思を何度も表明した」として、チェ権限代行を12・3内乱と「分離」した。尹大統領から渡されたメモについては「無視することにし、捜査の過程で捜査機関に提出した」と強調した。 チェ権限代行は先月17日の国会で、「あの時、折りたたまれたメモを受け取った。その時は余裕がなかったので、そのままポケットに入れた」と語っている。繰り返し内容の確認を求められた際には、「正確な単語は思い出せない。『国会における財政資金の確保』といったような話だった。それぐらいしか覚えていない」とはぐらかしている。チェ権限代行からメモを渡されたという企画財政部のユン・インデ次官補も、「戒厳に関する予備費についての財政資金の確保」と述べるにとどまっている。 その後、(このメモが)第22代国会の解散後に非常立法機関を設置するための予備費確保を指示するものだったということが報道された。尹大統領が1980年5月の内乱の際の全斗煥(チョン・ドゥファン)式の国家保衛立法会議を画策したもので、チェ権限代行に渡された予備費に関するメモは捜査や裁判で内乱罪の構成要件である国憲紊乱(びんらん)の主要な証拠となる見通しだ。 チェ権限代行はこの日、主要7カ国(G7)および欧州連合(EU)の大使との昼食会を開催。企画財政部は「(出席した)駐韓大使たちは『今回の事態を通じて韓国民主主義の強固さと回復力を再確認することができた』と評した」と語った。 キム・ナミル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )