アニメ「戦隊大失格」第1話より

テレビアニメ「戦隊大失格」(毎週日曜昼4:30-5:00、TBS系／ディズニープラスで全話独占見放題配信)の第1話「俺たち正義さ！竜神戦隊ドラゴンキーパー！」が、4月7日に放送・配信され、よくある正義VS悪といったヒーローものの構図とは一線を画す異色の“戦隊モノ”に多くのファンが反応し、初回オンエア後にX(※旧Twitter)のトレンドランキングに入る反響があった。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】12年にも及ぶ大戦隊と怪人との茶番劇の末にやさぐれた青年D…覆面の中は爽やかイケメン！ ■「戦隊大失格」とは 同作は、「五等分の花嫁」の春場ねぎ氏による同名コミックを「TIGER ＆ BUNNY」「いぬやしき」を手掛けたさとうけいいち監督が、アニメーション制作会社Yostar Picturesの制作によって、圧倒的な映像の美しさと迫力で独特な世界観を表現したアニメ。13年前に突如始まった怪人と大戦隊との存亡をかけた戦い。しかし、実はこの戦いは茶番劇で、とうの昔にアジトは陥落し、怪人の幹部たちも全滅。なぜか下っ端の戦闘員ダスターズだけが生き残ったのだが、大戦隊と結ばされた約束の協定「毎週末、地上侵攻し、敗れ散る」を延々と繰り返している。この“負け続ける”人生に、やさぐれた戦闘員D(CV：小林裕介)が立ち上がる…という物語が展開される。 竜神戦隊ドラゴンキーパーと怪人との戦い「日曜決戦」が行われる日。決戦の会場は多くの人が集まり、レッドキーパー(CV：中村悠一)は観客にサインをするなど、ヒーローショーさながらの盛り上がりとなっている。活気あふれる会場でテンションが上がらず、やさぐれた雰囲気の青年が一人。そんな青年に、大戦隊イエロー部隊所属の戦闘員・錫切夢子(CV：矢野優美華)と白い衣装の謎めいた戦闘員・桜間日々輝(CV：梶田大嗣)が“お決まり”の注意事項を伝えると、青年に「立派っすね。お二人ともお若いのに大戦隊なんて」と皮肉っぽく返されるが、桜間はその言葉を素直に受け止め、大戦隊への入隊試験を勧めた。 そのテンションが上がってない青年というのが、本作の主人公・青年Dであり“戦闘員D”だ。何に対してもやる気がなさそうというか、大戦隊に怪人が戦いを仕掛けて最終的に敗れ散るというルーティンに飽き飽きしていた戦闘員Dは、軽く聞き流すつもりだったのかもしれないが、夢子に「あとは君のやる気次第、かな」と手を握られ、その言葉が少なからず彼の背中を押すこととなった。 すでに999回目の「日曜決戦」。怪人と戦闘員たちが登場すると、観客から空缶などが投げ込まれ、ドラゴンキーパーの5人がさっそうと現れた。ドラゴンキーパーと怪人との応酬が始まり、少し怪人が押したかと思わせておいて、最後は必殺技「ドラゴンブラスター」で怪人と戦闘員たちを一掃する…はずだったが、戦闘員Dは「やってらんねえや。こんな茶番」と言い、ボロボロになりながらもドラゴンキーパーに向かっていった。 ■マンネリ打破のため抵抗するも… 他の戦闘員たちは“負けること”を前提に戦略を練っているが、戦闘員Dだけは世界征服のために勝つことを信じている。でも、他の戦闘員たちはそんな野望を鼻で笑うばかり。ずっと変わらない状況、今後も変わらないであろう状況にうんざりする戦闘員Dの気持ちは痛いほど伝わってくる。 いろいろ積み重なってDの限界突破となったのだ。そこでドラゴンキーパーを倒しせればよかったのだが、レッドキーパーとの一騎打ちの時、「はい、お疲れさん。黙ってやられてればいい。空気を読め。立場をわきまえろ」とささやかれ、見事に散った…。“悪役”にもなれず、協定に縛られた“奴隷”に過ぎないと自覚したDは、再び遭遇した夢子に「入隊試験、受けてやる」と決意を伝えた。 999回戦っても観客の中にはこれが茶番劇、ヤラセだと気付いていない人たちがいる。というか、ほとんどの人は気付いていない。でも、勧善懲悪で正義が勝つことは分かっている。実際の怪人幹部はもう全滅しているので「日曜決戦」に登場する怪人は戦闘員が得意の“擬態”を使った“ニセモノ”。 普通の戦隊モノであれば、隊員たちが徐々に結束を固め、成長し、大きな悪に立ち向かうというのが定石だ。「戦隊大失格」はそんな定石など関係ない。変わらない状況に嫌気がさした戦闘員Dが、大戦隊の試験を受ける。それによって、“変わらない”ものがどう変わるのか楽しみだ。 放送後には、SNS上に「ガッチリ心つかまれた！」「作戦会議してる悪役たちが切な過ぎて泣けてきた」「登場キャラの“いい声”にやられ過ぎている。続きが楽しみです」と、いろんな視点からの反響が見られた。「スタッフ陣の多くがタイバニ(TIGER ＆ BUNNY)なので、タイバニ感があって、個人的にはそれも好きなところ」「タイバニ感もあって至高！」といった感想もあれば、「エンディングでメイキングが見られるのがいいな」とエンディングに触れる感想も。次回への期待の声も多く、どういう展開になるのかが楽しみだ。 ◆文＝田中隆信