「声優陣が豪華すぎ…」アニメ『クレしん』幻の劇中番組「マリーちゃん」の“異常な完成度”
■『セーラームーン』ネタも? 最初はゲーム機のキャラとして登場
マリーちゃんの初登場は、「風間くんの好きなアニメキャラだゾ」(1998年10月30日放送)。このときはアニメキャラという設定で、デザインも声もその後のものとは別だった。変身のかけ声「ミラクルクルクルクルクルリン、月にかわってマリーフラッシュ!」の「月にかわって」以降の部分を幼稚園の上尾先生が恥ずかしくて言えない場面があるが、これは上尾先生役の三石琴乃がセーラームーンを演じていたのに引っかけたギャグ。 設定とデザインが統一されたのは、「魔女っ子マリーちゃんに挑戦だゾ」(1999年10月1日放送)から。マリーちゃんはおもちゃ屋の店頭に置かれたゲーム機のキャラクターとして登場する。マリーちゃんのゲームなのに、ライバルのシーラがメインになっている不思議な筐体だった。 本格的に登場したのは、スペシャル放送の「ふしぎ魔女っ子マリーちゃん」と「ふしぎ魔女っ子マリーちゃんだゾ」(いずれも1999年10月8日)。マリーちゃんファンの風間くん、シーラファンのしんのすけとひろしの姿を挟みつつ、マリーちゃんの活躍を存分に描いている。 とくに後者はまるごとマリーちゃんのエピソードで、宇宙規模の変身シークエンスによるニューバトルコスチュームが披露された。放送されたのは「魔女っ子マリーちゃんに挑戦だゾ」の翌週で、原恵一監督をはじめとするスタッフが集中的にマリーちゃんを推していこうとしていたのが分かる。
■マリーちゃんの好きな俳優はまさかの……
「マリーちゃんの撮影を見学だゾ」(1999年11月5日)は、しんのすけの家の近所の公園にマリーちゃんが撮影にやってくる、特撮設定ならではのエピソード。集まってくるファンに素晴らしい対応を見せるマリーちゃんとシーラの姿がほほ笑ましい。 「マリーちゃんがカスカベで戦うゾ」(2000年1月14日)は、春日部の「なつかし博物館」の前で偽マリーちゃんと戦うエピソード。マリーちゃんの好きな俳優は、当時ひろし役の声優だった藤原啓治氏だと明かされた。放送翌日にロケ地を訪れる風間くんは、「ご当地巡礼」のはしり。 「憧れのマリーちゃんをレンタルするゾ」(2000年1月28日)は、レンタルビデオを観るという体でマリーちゃんの基本設定が明かされるエピソード。魔法界の学校でみんなが95点を取っているのに15点しか取れなくて落第したマリーの劣等生ぶりがすさまじい。 「魔女っ子マリーちゃん 最大の危機だゾ」(2000年2月11日)は、「マリーちゃん」のオープニングやアイキャッチまで見せてくれるファン垂涎の回。コスチュームを汚されて怒ったマリーは、スカートの中からミサイルを乱射して敵を撃退する。 「オラもオーディションを受けるゾ」(2000年3月10日)は実質的な最終回。「マリーちゃん」に出演する子役を選ぶため、本物のマリーちゃんとシーラがふたば幼稚園にやってくる。張りきってオーディションに臨んだ風間くんだったが、優等生らしさが仇になって落選。選ばれたマサオくんは緊張のあまり気絶、風間くんも落選した瞬間に気絶していたというオチだった。 マリーちゃんが声つきで登場したエピソードはこれだけである。その後もたびたびフィギュアやポスターとして顔を見せたが、キャラクターとして動くことはなかった。風間くんの興味も、新たに登場した劇中劇の萌えアニメ「ま・ほー少女もえP」に移ってしまったようである。 それにしても「不思議魔女っ子マリーちゃん」をこのままにしておくのは実に惜しい。オリジナルのスピンオフが制作されれば最高なのだが、そうでなくても「きっとベスト」シリーズや「イッキ見」シリーズなどで「マリーちゃん」のエピソードを集めた映像ソフトを出してほしいと切に願っている。関係者のみなさま、よろしくお願いいたします。
モミアゲくん