「ファンクルセク座」と呼ばれる小泉進次郎 韓国メディアは総裁選をどう見ているか
誰が首相になろうが…
本来注目すべき進次郎氏の公約や、首相になった際の日韓関係、経済政策の方向、東アジア情勢に及ぼす影響などに、韓国のマスコミはほとんど興味がないといえる。ゴシップ誌的な扱いばかりで、日本の読者のなかには、非常識に思う人もいるかもしれない。 政治部の先輩にこのあたりを訊くと、 「君は小泉進次郎以外の自民党総裁候補についてどれだけ詳しいか」 と言われ、筆者は言葉に詰まってしまった。たしかに顔は見たことがあるが、彼らの政治姿勢と経歴についてはおぼろげだ。先輩はこうもつづけた。 「いま、政治部・社会部の記者は、小泉進次郎氏に限らず、日本の首相候補について興味がない。正確にいえば、今回の選挙に大きな期待はないということだよ」 韓国のマスコミは、誰が首相になろうが、日韓関係に関しては現在の岸田内閣と大きな変化はないと見ている。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が健在である以上、現在の日韓関係が悪化することもない。ようは、韓国世論が敏感に反応する従軍慰安婦や徴用工賠償、独島領有権などの問題について、自民党はこれまでの立場を踏襲すると予想しているということだ。
あえていうなら「靖国」が
あるネット媒体の政治部記者は「日本の自民党総裁選挙が韓国で注目度が高くないだけに、進次郎氏のファンクルセク座など刺激的なネタや、せめて韓国の読者が怒りを感じる『反日』の素材を織り交ぜないと読まれない」と話していた。 その言葉どおりの報道が、JTBCの「ファンクルセク座小泉首相、自民党首相の挑戦状……靖国参拝の意思」という9月6日の放送だろう。「(進次郎氏が)日本の首相になった後も、これまで通り、靖国神社を参拝しうるという意思もほのめかした。父親の小泉純一郎元首相も首相の身分で靖国神社参拝を強行し、韓国をはじめ周辺国の強い反発を買った。進次郎氏が父親の後光を背負っているだけに、政治能力が低いという視線もある」と批判した。数少ない、彼の政治姿勢に焦点を当てた報道かもしれない。 また聯合ニュースの「日本の自民党総裁選候補の半分が靖国参拝……不安な韓日の前途」という9月21日記事では、「外相と首相を務めながら韓国との協力に関心を持った岸田首相と違って、次期首相候補からは韓国に関する関心や接点が不足していることも、両国関係に不安要素として挙げられる。ある外交関係者は、有力候補の進次郎氏について、韓国と接点のない候補と評価してもいる」「少なくとも韓日関係では、次期首相がしばらく中断していた靖国神社参拝まで強行する場合、両国間の歴史葛藤は岸田時代より一層大きくなりかねない」と分析している。 ノ・ミンハ(現地ジャーナリスト) デイリー新潮編集部
新潮社