江口宏志と熊谷彰博が明かすフリーマガジン『NOT FAR』全8冊の創作秘話。
〈T-HOUSE New Balance〉を中心に配布されるフリーマガジン『NOT FAR』は、最新の8号目が発行されたばかり。そのテーマはどのように掘り下げられたのかを、編集長の江口宏志とアートディレクターの熊谷彰博に聞いた。また、『NOT FAR』が11月23日(木)から26日(日)まで開催される『TOKYO ART BOOK FAIR 2023』に出展する情報も紹介します。 【フォトギャラリーを見る】 「ちょっとそこまで」。編集長の江口宏志は創刊号の巻頭にその言葉で思いを綴った。〈T-HOUSE New Balance〉を中心に配布されるフリーマガジン『NOT FAR』は、8号目が発行されたばかり。プロジェクトは新型コロナウイルスが社会問題化すると同時に始まった。コンセプトを探るうちにコロナ禍が広がり、自ずとタイトルも決まったという。
「遠くに取材には行けないな、という気持ちから出てきたタイトルだったように思います。物理的に外へ出られない状況だったので、世界の隅々まで見に行こうというよりも、もっと身近なところから少し足を延ばすことで少し思考を変えるような発見をしていこうという意味合いをこめました。もう一つにはニューバランスというバックグラウンドをもつマガジンだからこそ、そこに留まらずに動き出すというテーマにしたかったんです」と、江口は言う。
1号目のテーマは「移動/Moving」。世界的に動けないという制約が生まれたタイミングに、人々のちょっとした生活の試みや思いを世界のいくつかの街からすくい取り、動くことへの渇望とその魅力を逆説的に提示した。 毎号ではないものの、エディターやデザイナーがゲスト参加する点がユニークだ。もともと取材に行けない時期に遠隔で協力してもらったことをきっかけに、その多角的な視点が雑誌に面白い結果を生み出すことから不定期で取り入れている。江口はアートディレクターに招いた熊谷彰博らと対話を続けながら、企画を探る。