【衆院選2024】京都市の人口と同じくらいの票が消えているって知ってた?無効票の話(原口和徳)
無効票に期待される効果
無効票を投じることにはどのような意味があるのでしょうか。 無効投票が多くあると、特に接戦の選挙区では当選した政治家に対して「次の選挙で無効票が対立候補に流れたら落選するかもしれない」と緊張感を与えることが期待できます。 衆院選(小選挙区)では、おおむね1割弱の選挙区において、有権者の1%の規模で当選者が変わるほどの接戦となっていますので、無効票が緊張感をもたらすことが期待されます。 しかし、無効票は選挙の結果自体には影響しないため、その効果はどうしても限定的なものとなってしまいます。
自分にとって最も好ましい候補者に当選の可能性がないときはどうする?
無効票を投じるために投票所に行き、投票するだけでも尊いことですが、もう一歩踏み込んだ対応も考えられます。 「戦略投票」と呼ばれる行動では、各候補者の当選する可能性を考慮に入れて投票先を決めていきます。仮に自身にとって最も好ましい候補者に当選できる可能性がなかったとしても、2番目に好ましいと思う候補者ならば当選できる可能性がある場合などに、次善の候補者に投票するものです。 衆院選は、小選挙区比例代表並立制ですので、小選挙区では戦略投票を行い、比例代表では自身が最も好ましいと思った政党に票を投じるといった形で、自身の意思を示すこともできます。この場合は、開票結果から戦略投票が行われた可能性を推し量ることが可能です。このことは、政治家に「必ずしも自分が最も支持されている候補者ではなかったのかもしれない。(次は、選ばれなくなるかもしれない)」とより大きなプレッシャーを与えることも期待されます。
「よりましな候補者を選ぶ」ということ
選挙で問われる論点が多岐にわたることからもわかるように、主義主張が自身と一致し、期待される行動力も自身の期待値を上回るような政治家に自身の選挙区で出会い、投票できることはほぼありません。 ある意味、投票することは誰にとっても「よりましな(より悪くない)」者を選ぶ行為でもあります。 もし、自分の思いを反映してくれる人がいないから無効票を投じようかな(場合によっては投票自体を棄権しようかな)という人がいたとしたら、あなたもほかの人と同じように「よりましな人」を探してみませんか。 2012年には小選挙区で200万票を超えていた無効票も、過去3回ほど減少を続け、やっと144万票となりました。今回衆院選ではさらに無効票の数が減ることになるかどうか、注目されます。