体操パリへ20歳新星・岡慎之助、異名は「フェラーリ」 「全然乗りこなせてない」けど高い潜在能力
◆体操 ▽パリ五輪代表選考会兼個人総合全日本選手権 最終日(14日・高崎アリーナ) 個人総合で争う男子決勝が行われ、20歳の岡慎之助(徳洲会)が、予選との合計172・264点で自身初の表彰台となる2位に入った。「高性能フェラーリ」と評される逸材が、初の五輪に大きく前進した。既に代表に決まっている21年東京五輪個人総合金メダルの橋本大輝(22)が合計176・164点で圧勝し、17年大会で10連覇した内村航平さん以来の4連覇。残り4枠の代表は、全日本の得点を持ち点に争うNHK杯(5月16~19日、群馬・高崎アリーナ)で決定する。 岡が全日本の舞台で才能を開花させた。全6種目で穴がない真のオールラウンダーへ本領発揮。あん馬で落下のミスがありながら、決勝6種目合計は86・098点。世界選手権では22年大会銅、23年大会銀メダル相当の高得点をたたき出しながらも一喜一憂しない冷静な姿が岡らしい。初五輪への戦いはまだ折り返しで「まずは絶対代表に入るのがポイント」と喜びは控えめだった。 19年世界ジュニアで団体&個人総合を制し、2冠を達成。水鳥寿思・強化本部長も期待を寄せてきた逸材だ。2004年アテネ五輪団体金メダリストで、所属の米田功監督(46)は岡の潜在能力を高級車に例えて高性能の「フェラーリ」と評する。体操の質、美しさは一級品。だが「全然乗りこなせてない」とまだまだ伸びしろを秘める。 度重なるけがに泣いてきた。21年東京五輪代表選考の予選を兼ねた全日本は手首痛の影響で予選敗退。22年全日本は、決勝の跳馬で右膝前十字じん帯を断裂。全治は8か月。普通は落ち込むが、岡は違った。「チャンスだ」。試合に出られない分、弱点強化に集中。日本の弱みでもあるつり輪はこの日、14・466点。2年前のこの大会から1点以上伸ばし、進化を示した。 母校・星槎国際高ではフィギュアスケート男子で22年冬季北京五輪銀の鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)と同級生。先を超され「取り残されている感じはちょっと嫌だった。結果を残さないと」とスイッチが入った。残り4枠の五輪代表争いは混戦模様。大勝負をかける5月のNHK杯へ「『自分が絶対に入る』と気持ちだけを持って挑みたい」。ギアを上げ、エンジン全開で全てを懸ける。(小林 玲花) ◆岡 慎之助(おか・しんのすけ)2003年10月31日、岡山市生まれ。20歳。4歳から競技を始め、19年5月、当時高校1年で徳洲会入り。18年アジアジュニア 個人総合銅、19年世界ジュニアで団体&個人総合2冠、種目別はあん馬銀、平行棒銅。得意種目は平行棒。フィギュアスケート男子で、22年北京五輪銀メダルの鍵山優真とは星槎国際高でクラスメート。158・5センチ。57・5キロ。 ◆体操のパリ五輪への道 男女ともに5人。男子は昨秋の世界選手権で個人総合2連覇の橋本が既に決定し、全日本選手権の得点を持ち点に争う5月のNHK杯(高崎アリーナ)で上位2人を選出。残り2人はチーム貢献度で決まる。チーム貢献度は種目別で強いスペシャリストが有利。個人総合で選ばれた選手とチームを組んだ場合に団体総合の得点が最も高くなる選手を選び、男子の1人はNHK杯10位以内。
報知新聞社