ドイツ、6月のインフレ率は3カ月ぶり低下-景況感後退が寄与か
(ブルームバーグ): ドイツのインフレが3カ月ぶりに減速した。同国経済の回復には失速の兆しが見られている。
独連邦統計局が1日発表した6月の消費者物価指数(CPI、EU基準)上昇率の速報値は前年同月比2.5%と、ブルームバーグが調査したアナリスト予想に一致した。前月は2.8%だった。エネルギーコストが下落を続け、モノの価格上昇も和らいだ。現在とりわけ注目されているサービス価格の上昇率は3.9%で、前月から変わらなかった。
6月28日に発表されたフランスとスペインのインフレ率も低下。イタリアはやや上昇したが、インフレ率は1%未満にとどまった。ユーロ圏20カ国全体の6月のインフレ率は2日に発表される予定で、アナリストとブルームバーグ・エコノミクス(BE)がまとめた「ナウキャスト」はいずれも前月の2.6%から2.5%に低下すると見込んでいる。
ドイツのインフレデータは「9月の追加利下げに扉を開く内容だ。ただ、政策委員の中には賃金動向を理由に、次回の利下げを冬まで持ち越したいと考える者もいるかもしれない」と、INGのマクロ部門責任者、カーステン・ブジェスキ氏は述べた。
ドイツは景況感の悪化が物価上昇圧力を弱めた可能性がある。最近の指標では、消費者と企業の景況感は予想されたほど楽観的ではなかった。民間部門の経済活動も予想を下回った。
欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏全体のインフレ率が来年末にかけて目標の2%に戻るとみている。だが、ドイツ連邦銀行(中央銀行)は同国の来年のインフレ率が平均2.2%にとどまると予想する。
ECB政策委員会メンバーのナーゲル独連銀総裁はこれまでに、基調的インフレが「依然極めて根強い」と指摘し、油断は禁物だと呼びかけるとともに、ECBは自動的に利下げを続けるわけではないと強調していた。
ナーゲル氏は1日、フランクフルトで講演。ドイツ経済の見通しの弱さを挙げ、力強い機運を生むための基盤作りを政治家に求めた。