「頑張って!」のつもりで「Fight!」と言うと、英語が苦手と即バレするワケ
映画「ボヘミアン・ラプソディ」に“Gotta give it a go.”というセリフが出てきます。どんな意味だかパッと分かりますか?今回お伝えしたいのは、“give”が分かると「英会話上手」になれるということ。さらに、オンライン英会話やChatGPTを使って英語を効率的に練習する方法もお伝えします。(大学受験専門塾「ワークショップ」英語科講師 土岐田健太) 【この記事の画像を見る】 ● 「オンライン英会話を始める」の前にやるべきこととは? 日頃、僕のところにはさまざまな背景を持つ社会人の方が相談に来ます。その時に多いのは「英語が話せるようになりたいから、オンライン英会話を始めようと思っている」というものです。運営しているサービスでは社内に海外在住の講師や指導力の高い英会話講師を集めたオンライン英会話(名称は英語スパーリング)があるので、会話のブラッシュアップの練習の場所は確立されています。 しかし、僕がまず言うのは英文法の基本例文をマスターすることです。受講生には最初の段階で「英文法のインプット」や「基礎」がしっかりしているかをテストで確認しています。中高の文法が分かっていないのにアウトプットを中心にした会話に進んでも、ほぼ100%挫折するからです。そのくらい大学受験に出てくる英文法は実用的だということで、実際に社会人の方に指導している時も「文法をちゃんとやる人」はうまくいくし、「英会話で今さら文法なんて……」という人は、あまり伸びません。 会話の勉強をするとなると、「アウトプットを重視したい」ということで、最初からオンライン英会話をする人も多いかと思います。しかし、実は、最初は「インプット」に力を入れる方が近道です。
● 映画「ボヘミアン・ラプソディ」の台詞を訳してみよう そんなとき、まず話せるようになりたいという社会人の方におススメなのが「基本動詞」の学習です。僕は普段、基本動詞のgiveからスタートして、身近なところから実例を見てもらっています。 例えば、映画好きの人なら「イギリスのロックバンド、Queenの伝記的映画『ボヘミアン・ラプソディ』にgive it a goという台詞があるんです」と伝えます。どんな意味だか分かりますか? Gotta give it a go. 「やってみるよ」 映画「ボヘミアン・ラプソディ」より引用 これも、英文法の力があれば瞬時に分かるようになります。「何百回と意味もなく声に出す」ことで覚えるのもいいですが、英文法の力を使ったほうが他にも応用が利くのでおすすめです。 では、文法的に考えてみましょう。英語の文型が分かると、「基本動詞の役割」が見えてきます。例えば、ボヘミアン・ラプソディのこの台詞は英文法の文型で学ぶ「第4文型」です。第4文型は「与える」の意味になる動詞が圧倒的に多く、これらの動詞を「授与動詞」と言います。 My girlfriend gave me an interesting book. 僕の彼女が僕に面白い本をくれた。 「授与動詞」とは、簡単に言うとgiveなどの「与える」系の意味を表す動詞です。 『ゼロから覚醒 はじめよう英文法』(かんき出版)p. 42 それでは、「ボヘミアン・ラプソディ」に使われている“give it a go”はどうなっているのでしょうか?これも実は第4文型です。 Gotta (V) give (O1) it (O2) a go. 「やってみるよ」 文型だけでなく、英文法の「品詞」のルールも役立ちます。goの前にaが付いていますね。aは冠詞なので、後ろに来ているgoは動詞ではなく、冠詞の付く「名詞」と分かるのです。その上で辞書を引けば、勉強の効率がグッと上がります。 これは次の英文法のルールが役立ちます。 POINT1: 単語の品詞と意味は、文のどこに置かれるかで判断できる! つまり、文法の力を使うとgoが「行く」という動詞ではなく、「試み」の意味で使われている名詞だと分かるのです。試しに辞書の名詞の項目でgoを見てみてください。goには名詞で「試み」や「機会」という意味が口語表現で使われると書かれているはずです。