国天然記念物「噴湯丘」 人による破損の恐れ
登った跡が複数 長野県大町市が来訪者のマナー啓発へ
大町市の高瀬渓谷・湯俣にある国天然記念物「噴湯丘(ふんとうきゅう)」の保全について8日、市議会12月定例会の一般質問で取り上げられ、人による破損の恐れがあるとして市議が市側に対策を求めた。市教委は「天然記念物であることを来訪者に知らせる必要があり、市ホームページやSNSでマナー啓発をする」とした。 噴湯丘は、湯俣川の河原で噴き出す温泉のうち主に炭酸カルシウムが堆積して丘のようになったもの。上部の噴出口に白い粒ができ、「高瀬渓谷の噴湯丘と球状石灰石」として1922(大正11)年に国天然記念物に指定された。 市教委によると、現在見られる噴湯丘は高さ3メートルほどあり、上部からの熱湯の噴出が止まり、乾燥して表面が剥がれ始めている。人が登った形跡も複数あるという。 市教委は「登山者だけでなく写真や動画撮影目的の来訪者も増えているが、天然記念物と知らない人もいる」と説明。人為的な破損は文化財保護法違反の恐れもあるとした。看板設置などは国立公園内のため関係機関と協議すると答弁した。