プラレール動画がバズった松岡純正「『きかんしゃトーマス』が大変でした」
タカラトミーが手がける鉄道玩具「プラレール」を使い、実在する駅をリアルに再現した動画を日々投稿しているプラレールYouTuber・松岡純正さん。現在のチャンネル登録者は10万人を数えるほどの人気で、イベントを開催すれば大変な賑わいを見せ、参加者を次々と“プラレール沼”に沈めている。 そんな松岡さんに、なぜプラレールの動画を投稿しようと思ったのか、コロナ禍に直面したときの心境など、会社員を辞めてYouTuberとしての道を選んだ半生をインタビューで聞いた。 ◇1年間で4回転職して覚悟を決めた ――一番最初に投稿した動画の日付が2011年11月22日でした。かなり早い時期からYouTube活動をしていたんですね。 松岡:当時はパソコンのスペックが低く、趣味で撮影した動画を保存できなかったので、“保存先”としてYouTubeに投稿する感じでした。プラレールの動画もありましたが、街中にいる野良猫を撮影した動画や、知り合いのバンドマンのライブ映像を編集した動画などノージャンルでした。 ――プラレールの動画を撮影していたのは、昔から好きだったからですか? 松岡:幼少期にプラレールでよく遊んでいましたが、ずっと好きだったわけではありません。学生時代にブックオフでアルバイトをしていたとき、たまたまプラレールに関する本を見かけて、ふと“プラレールの専門家っていないよな~”と考えました。そこで改めてプラレールという存在が気になり、動画を撮るようになりました。 ――なるほど。大学生の頃にキッカケがあって、プラレールの動画を投稿し始めたんですね。 松岡:そうですね。就職したあとも動画投稿は趣味感覚で続けていました。ただ、その頃は職場に馴染めず1年間で4回も転職したり、さらには睡眠障害を発症したりなど私生活はどん底でしたね。 ――それは心身ともにかなりツラそうです…。 松岡:本当にツラかったです。会社勤めは無理かも……と考えていた時期でした。でも、ちょうどプラレールの動画が伸びるようになって、YouTubeからの広告収入が少し入るようになったんです。そこで「プラレールの動画で食べていこう」と覚悟を決め、“1日3本投稿”という目標を課してYouTuberとして本格的に活動を始めました。 その当時は、朝7時に起きて翌日の午前2時に寝て、という感じでした。動画制作に時間を割く必要があり、1日の食事も2食から1食と減っていきました。外出もほとんどせず運動不足で……とても健康で元気でした、とは言えない生活を送ってました。いま思えば、本当に若かったおかげですね(苦笑)。 ――心身だけではなく金銭的にもかなり大変だったのでは? 松岡:ビッグマックセットが買えないくらい貯金がなくなったこともあります。ただ、再生数や登録者数は伸びている時期でもあり、特に悲観的になることはなかったです。「あ~このままだと路上生活になりそうだな~」くらいな軽い感覚でした。 ――かなりの強メンタルですね……。 松岡:注目度や再生数も右肩上がりでしたし、YouTubeの広告収入だけではなく、イベントなどを依頼してもらう機会も増え、おかげさまで生活できるくらいには稼げるようになりました。 ◇年収が3分の1になっても笑っていられました ――ここ数年は、新型コロナウイルスの感染拡大によってイベントができず、経済的な打撃は大きかったのでは? 松岡:2010年代後半くらいから知名度が上がり、収入も増えていきました。でも、その時期から「もって3年だよね」とパートナー(妻)とも話しており、散財することなく貯金に回していました。まさかパンデミックが起きるとは思っていなかったですが、予想はしていたので“食うに困る”ということはなかったです。 ――ちなみに、どれくらい収入は減りましたか? 松岡:収入が3分の1まで減少したり、年収が100万円を切ったりなどいろいろありました。ただ、パートナーと「めっちゃ年収低くない?」って笑い合っていました。 ――ある意味で“パワーカップル”ですね! YouTuberとしてツラいと思ったことはありますか? 松岡:『きかんしゃトーマス』の世界を再現するために、アニメを全話見たときは本当にしんどかったです。500話以上あるため、ノイローゼになりかけました(笑)。それに加えて、アニメ内で線路がすべて描かれているわけではないため、原作本にも目を通す必要もあり……とにかく大変でしたね。 ――プラレールで世界観を表現するには、それだけの準備が必要なんですね。 〇【プラレール】ナップフォード駅を再現してみた【トーマス】松岡:視聴者さんには伝わらない苦労ですと、レールを洗う作業も大変です。イベントをやるとレールを地べたに置くため汚れてしまう。直線レールだけでも4000本あるのですが、それをキレイに洗わなければいけないので本当に骨が折れます。 自宅には当然スペースがなく、さまざまな機材を置くためにマンションを一室借りています。キッチンも置き場にしているのですが、レールなどを洗うためにお風呂場だけは残しています。