【大胆予想】最新統計データが導き出した驚きの結果…今年の「セ・パ優勝球団」はズバリここ!!
球春、到来! 岡田彰布監督(66)率いる阪神が38年ぶりの日本一に輝いてからはや3ヵ月が経ち、今年もプロ野球12球団が新たに日本一を目指してキャンプインした。 【見やすい!】野球を最新科学で分析…! 今年の「セ・パ優勝球団」はズバリここ!! 予想順位をドンっ! 例年、キャンプ、オープン戦を経て開幕が迫ると、テレビや新聞で野球評論家たちによる順位予想が繰り広げられているが、本誌は、データの分析や運用を行う株式会社DELTAの協力のもと、過去3年間のデータを徹底的に分析することに注力。主観を排除したペナント予想に成功した。 阪神のアレンパ、オリックスの4連覇か、はたまた新監督、新戦力を迎えた巨人、ソフトバンクがV奪回に成功するか? データが導き出した結論はしかし、大方のファンの予測を大きく裏切るものだった――。 野球のデータを統計学的に分析する「セイバーメトリクス」の専門家たちは、チームの勝敗予想に、「WAR(Wins Above Replacement)」という指標を用いる。DELTAのアナリスト・宮下博志氏が説明する。 「WARとは、『一人の選手が、控え選手と比較してチームの勝利数をどれだけ増やしたか』を表す数字です。例えば、今季から大谷翔平(29)とともにメジャーリーグのドジャースでプレーすることになった山本由伸(25)の昨季のWARは、7.0。たった一人でオリックスに7つの勝ち星を上積みしたことになります。 こうした各個人のWARを合計したものに、ベースの35勝を足し合わせた数値が、その球団の予測勝利数となります。合計WARが45のチームなら、80勝です」 投手の個人WARは奪ったアウトの数や奪三振、被本塁打、与四球の数などから算出され、野手WARは守備、走塁、打撃の総合値で算出される。2.0以上でレギュラークラス、5.0以上でオールスタークラス、6.0以上でMVP級の活躍とされており、1.0あたり年俸1億円の価値があるのだという。 今回は直近3年間(’21~’23年)のデータをもとに計算。ゆえに、昨年大ブレイクした選手達のWARがやや低めに算出されていることを付記しておく。例えば、最優秀防御率やリーグMVPのタイトルを獲得し、阪神のエースとして大活躍した新人王の村上頌樹(25)の昨季のWARは5.3だったが、’21年、’22年は0勝だったことから、「昨年以上の成績を残す可能性はそれほど高くない」という予想になっている。 では、早速セ・リーグから見ていこう。 ″智将″岡田監督の指揮の下、リーグ連覇を狙う阪神の下馬評は高い。 「昨年日本一になったメンバーが非常に若い上、優勝を経験したことによる精神的な成長もある。エース格の村上や、昨年12勝を挙げた大竹耕太郎(28)は、実質的に今季が2年目。同じ活躍を続けられるかがカギとなります。近本光司(29)や大山悠輔(29)ら野手も充実しており、手薄なポジションもない。連覇が期待できます」(野球評論家の藪恵壹氏) ◆勝負強さもデータに出る OBである藪氏のお墨付きが得られた阪神だが、データ上での予測はなんと、順位を2つ落としての3位だという。 宮下氏が解説する。 「圧倒的な投手力で勝ったイメージのある阪神ですが、データを見ると、昨年の投手WARは23.6で、2位のDeNAと0.6しか差がない。一方、野手WARは24.2で、2位の巨人を4以上引き離しています。30本塁打以上を放った選手はいませんでしたが、実は野手が強いチームだったのです。とくに近本がリーグトップのWAR7.2、大山が同3位と例年よりもかなり良い数字を出しています。佐藤輝明(24)ら他のレギュラーも皆、平均以上の成績を残していましたが、この成績が今年も維持されるとは、統計上考えにくく、今季の野手WARは16.1程度に落ち着くと考えられます。投手WARは微増の25.1で、相変わらず12球団トップですが、合計WARは41.2と、昨季よりも6以上落ちるでしょう」 新井貴浩監督(47)が就任1年目でリーグ2位という好成績を残した広島も、順位を下げるという。 「主砲の西川龍馬(29)がFAでオリックスに行ってしまったことが大きい。長打力が売りの末包昇大(27)などが化ければ面白いですが、去年が出来すぎな気もします」(前出・藪氏) この″出来すぎ″という指摘は、データにも表れている。宮下氏がこう話す。 「昨年の広島は、得点圏や重要な場面での成績が非常に良かったんです。ファンからすれば『勝負強さ』や『采配の妙』という見られ方をするかもしれませんが、データ上は『重要な場面で偶然、いいパフォーマンスが発揮された』という見方をします。昨年良いほうに出たぶん、今季は上手くはいかない可能性が高い」 エース・今永昇太(30)とトレバー・バウアー(33)を失ったDeNAは、順位を1つ落として4位の予想だ。 「16勝を挙げて最多勝に輝いた東克樹(28)は、昨年が飛びぬけて良かったため少し成績を落とす予想。野手は昨季打点王に輝いた牧秀悟(25)らスタメンのWARは悪くないのですが、控えの数字が良くない。ただ、現在手薄になっているライトにドラ1ルーキーの度会隆輝(21)がハマれば、大きな上積みとなるでしょう」(以下「」は宮下氏の発言) 2年連続最下位に終わり、雪辱を期す立浪和義監督(54)率いる中日は、合計WAR34.7で今年も最下位予想が出た。 「昨季の投手WARは22.7でリーグ3位と悪くない。しかし、野手WARが9.2で1位の阪神と15以上も離れてしまっています。今年はソフトバンクから上林誠知(28)を、巨人から中田翔(34)を獲得するなど野手を補強しましたが、それでも野手WARは1程度しか上がらない」 その中田の古巣である巨人は、野手WAR20.4、投手WAR21.4で2位にジャンプアップする。 「サード坂本勇人(35)、ファースト岡本和真(27)、ショート門脇誠(23)とポジションが固まったことが大きい。昨シーズン後半にブレイクした赤星優志(24)ら若手投手陣が躍進するとも予測されています。去年の巨人は広島と対極で、『出来なすぎ』。重要な場面にいいパフォーマンスが発揮されなかったと見られており、今季はもう少し″勝負強さ″が出る確率が高い」 そんな巨人を抑えて1位でゴールテープを切ると予想されているのは、なんと昨年5位のヤクルトだ。 「’22年に10を超えていた村上宗隆(24)のWARが昨季は3.5とガタ落ち。今季は7.8まで回復すると予想されています。昨季ケガで出場機会が少なかった塩見泰隆(30)や不振にあえいだ山田哲人(31)も、過去のデータを平均すれば今年は復調する可能性が高い。投手力が懸念されていますが、優勝した一昨年や’21年も二桁勝利の投手がいなかった。優勝のカギはやはり野手なんです」 村神様の復活で、雌伏の時を過ごしていた王者が復活する。機械的に算出されたデータが、そんな劇的な結論を導き出したのだ。 ◆オリックスがBクラスに!? パ・リーグに目を移そう。3連覇中のオリックスを抑えて優勝するとデータが示しているのは、小久保裕紀新監督(52)を迎え、西武から”お騒がせ”大砲・山川穂高(32)を獲得したソフトバンクだ。野手WARは22.3でパ・リーグ1位と強力だ。 「山川は昨年ほぼ出場していないのですが、本塁打と打点の2冠に輝いた一昨年のWARが4.7だったので今季は2.2と予想されます。実際はこれよりも高くなるのではないでしょうか。昨年、三冠王に手が届きそうになった近藤健介(30)はWAR5以上を記録するでしょう」 ただし、ソフトバンクの優勝には条件がある。 「小久保監督の投手の起用法です。昨年、ソフトバンクのリリーフ陣のWARはリーグトップだったのに、先発陣は5位でした。潤沢な中継ぎ陣から何人かを先発に配置転換するべきです。たとえばリバン・モイネロ(28)はリリーフで使うとWARは2.5くらいですが、先発で使えば6以上を期待できます」 今江敏晃新監督(40)が率いる楽天は、ソフトバンクに次ぐ2位予想。ソフトバンクに続くリーグ2位のWAR19.1を記録する野手陣がチームを引っ張る。 3位につけるロッテは、予測投手WARがリーグ2位。もちろん、あの男の活躍によってその数字は大きく変わる。 「佐々木朗希(22)の例年の投球回数を勘案すると、今年も100イニング程度に収まると予想されますが、それでもWARが4.1とリーグトップレベルの予想です。もし他の先発投手と同様に150イニングを投げれば6以上、フル回転で180イニングを投げれば10以上が期待できます。一試合の投球だけで見れば、今すぐメジャーに行ってもサイ・ヤング賞級のレベルに達しています」 24勝無敗を記録した’13年の楽天・田中将大(35)のWARが8.2。佐々木はそれを上回るポテンシャルを秘めているのだ。 WAR7.0の絶対的エース・山本がメジャー移籍した穴は大きく、3連覇中の王者オリックスは、Bクラス転落の予想だ。 「左のエース・宮城大弥(22)がトップクラスのWAR4.2と大車輪の活躍を見せても補填(ほてん)できません。昨年ブレイクした山下舜平太(21)など、まだ実績の乏しい選手が数字を伸ばせば、優勝争いに加わる可能性はありますが……」 2年連続最下位で崖っぷちに立たされている日本ハムの新庄剛志監督(52)は、5位で最下位から抜け出すことができそうだ。 「主砲の万波中正(23)は、昨季のWARが5.2とリーグ2位。もし1位の近藤(昨季WAR8.3)がソフトバンクに移籍せずチームに残っていれば、優勝争いをしていてもおかしくなかった。今年は毎年WAR3以上を記録していたエースの上沢直之(30)が渡米したものの、オリックスから左腕・山﨑福也(31)を獲得。新外国人の補強も積極的に行って穴を埋めています。清宮幸太郎(24)ら若い選手が多いので、野手陣が覚醒すれば順位を上げるかもしれません」 森友哉(28)をオリックスに、山川をソフトバンクに持って行かれた西武は、かつて”山賊打線”と呼ばれた強力打線を失い、パ・リーグワーストの野手WAR9.5で最下位予想だ。 「今井達也(25)や高橋光成(27)、平良海馬(24)ら優秀な先発陣のおかげで投手WARは4位。しかし、打線があまりに厳しい。最大の課題は外野手陣。リーグ平均を下回る打力の選手しかいない。守備要員がフルイニング出場しているような状態なんです」 かつて圧倒的な強さでリーグを席巻したヤクルト、ソフトバンクの復権――。今年のプロ野球は、WBCから始まった昨年よりさらにドラマチックなものになる……かもしれない。 『FRIDAY』2024年2月23日号より
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