なぜプレミアリーグ勢はCL&ELで全滅したのか? 最大の弱点と課題は…
最高レベルの息をのむような4試合が終わり、今シーズンのチャンピオンズリーグ準決勝進出チームが決定。6月1日にウェンブリーで繰り広げられる最高の舞台に、イングランドのチームはどこも立てないことになった。ベスト4にプレミアリーグのチームがひとつもないというのは過去25年間で8回しかなく、2019-20シーズン以来のことである。これは何かが大きく間違っていることの証だろう。 【一覧】チャンピオンズリーグ2023-2024 ハイライト動画 文=ジェームズ・ウェストウッド 事実、プレミアリーグのチームは過去5回の大会中3回チャンピオンズリーグのトロフィーを掲げており、その間、イングランド同士の決勝が2回ある。前回チャンピオンのマンチェスター・シティは、優勝14回を誇るレアル・マドリーに熾烈なPK戦の末に敗れて栄冠を手放すこととなり、アーセナルはバイエルン・ミュンヘンに善戦はしたが、結局は負けてしまった。 彼らの敗戦がイングランド・サッカーにとって由々しき事態であることは間違いない。プレミアリーグの資金力は他のヨーロッパ「五大リーグ」のチームを凌駕しており、最高の選手や監督をすべて手中に収め、彼らが成功するためのツールを提供している。 それなのに失敗したのは、まさに信じがたいことだ。レアル・マドリーとバイエルンのこの大会における比類なき経験が最後に物を言ったのであり、彼らは、規律と優れた戦術を駆使してプレミアリーグ最強神話を粉砕した。この結果を誰も異常とは感じず、むしろ重大な力の移動が起こっていることが明らかになった。
マン・Cの歩みは狂わない
マンチェスター・Cの場合、パニックになる必要はない。ペップ・グアルディオラ監督のチームは準々決勝第2レグの試合の120分間、レアル・マドリーのサイドで試合をし続けた。相手のシュート8本に対して33本のシュートを放ち、ボール支配率は68%を誇ったのである。 先制点はレアル・マドリーの素早いカウンターアタックからロドリゴが決めたが、それ以外にゴールの匂いはほとんどせず、マンチェスター・Cが追いつくのは時間の問題だと思われた。それが76分でのことだったのは驚きでしかなかったが、アントニオ・リュディガーがクリアしきれなかったボールを拾ったケヴィン・デ・ブライネが至近距離からゴールの上隅に得点を決めた。その後もレアル・マドリーは幸運もあって延長戦を乗り切った。 マンチェスター・Cは、ほとんどのチームに対してやってきたように敵を追い詰め、試合終了の笛が鳴ったとき、レアル・マドリーの多くの選手が膝をついた。それでも、ロス・ブランコスは熾烈なPK戦においてゴールを死守し、敵地の熱狂的なサポーターの前で戦うというプレッシャーも加わる中で、鉄のメンタルを見せつけて勝ち抜いたのだった。 マンチェスター・Cの2度目の三冠獲得に向けての戦いは終わった。今大会と、昨シーズン両チームが戦い、マンチェスター・Cが4対0で勝った準決勝第2レグの試合との違いは、ただマンチェスター・Cがチャンスを決めきれなかったことだけだった。 グアルディオラ監督は、次の土曜のFAカップ準決勝のチェルシー戦で、選手たちから力強い答えを得ることだろう。この秋、115件のFFP違反に関する重罰が下るのではないかという恐れは依然としてあるものの、マンチェスター・Cがエリートチームであることは間違いなく、チャンピオンズリーグ敗退によって彼らの歩みが狂うことはないだろう。