【デスク便り】“自然消滅”したジャパンC外国馬公開調教…世界が注目する一戦だからこそ復活を
デスクというのは現場の記者に取材を任せるのが基本です。現場記者の仕事の邪魔にならないように、隠密行動に出ることもありますが…。 ジャパンCウイークです。大げさではなく、昨年に続き、世界の競馬関係者、ファンの注目を集める一戦です。あちらへ、こちらへ、取材に行きたい…。 昨年イクイノックスが世界最強馬に輝いたレース。同じ厩舎の後輩馬チェルヴィニア、朝日杯FS、ダービー、有馬記念に続き、天皇賞・秋でその能力を見せつけたドウデュース、海外からはここがラストランのオーギュストロダン、キングジョージ覇者ゴリアット、同じくラストランとなるドイツのファンタスティックムーンが参戦します。 以前は、ジャパンCといえば、公開調教でした。今ほど情報がない時代。初めて生で見る外国のトップホースの姿に「オオッ、すごい迫力だなあ」とか、「え、こんなにちっちゃいの?」とか…。東京競馬場に集まった競馬ファンが、11月下旬の寒い朝、白い息をはきながら、熱い視線を注ぎました。 残念ながら、今年も外国馬の調教の公開はないようです。先日、JRAに確認したところ、公開調教が行われていたのは2018年まで。19年は衝撃の「外国馬0頭」で行われず、20年は新型コロナウイルスで入場制限が厳しく、実施せず。そのまま自然消滅となってしまったようです。 お国柄だと思いますが、凱旋門賞など、英愛仏のビッグレースで外国馬の公開調教なんて基本的には行われません。一方でアメリカのケンタッキーダービーやブリーダーズカップ開催、香港の香港国際競走は調教を生中継します。 先月、オーストラリアのコックスプレートでは多くの人が見ている前でヴィアシスティーナがつまずいて放馬。コースを3周するという事件もありました(同馬は無事に出走し、歴史的な勝利をおさめる)。 日本はもともとファンサービスを大事にしてきた国です。今もG1競走の追い切りは映像がグリーンチャンネルやユーチューブチャンネルなどで見ることはできるのですが…。たとえば、水曜の朝に東京競馬場、美浦トレセン、栗東トレセンの3カ所から生中継で追い切りの様子を放送したら、ワクワクしますよね。 現状、競馬場やトレセンで調教を生で見られるのは新聞記者の特権となっています。ただ、生(実際に現地で見る体験、あるいは、同時中継のライブ感)の競馬の魅力を多くの人に楽しんでもらえたらな、と思います。インターネットを通じて、世界中のファンがジャパンCに出走する馬の調教を見られれば…。世界が注目するジャパンCだからこそ、そう思います。 「俺は記者になる前、競馬ファンだったときから毎年、ジャパンCの公開調教を見に行くのが好きだったんだ」。そう言っていた先輩記者もいました。東京競馬場の場内に人を入れることで、様々な負担が主催者にかかることは間違いありませんが、以前はやっていた公開調教。復活してよ。そう思っている人は多いのではないでしょうか。【競馬デスク@大阪中之島】