村上春樹 アメリカ滞在時代のドーナツと薄いコーヒーの思い出「味が微妙にドーナツになじむんですよね」
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。2023年12月31日(日)の放送は「村上RADIO~いろんなお便りを読みながら大晦日~」をオンエア。 今回は、リスナーの皆さんからいただいたメールを読んで、村上さんがお答えしていく特別回。仕事にまつわる質問から、プライベートにまつわるものまで幅広い質問に答え、大晦日にぴったりな楽曲とともに紹介しました。 この記事では、リスナーからのメッセージをきっかけに、アメリカ滞在時の思い出を語りました。
◆Kate Taylor「Home Again」
タカ派姿勢の高橋一生さん(30歳、男性、東京都) うーん、素敵なラジオネームですね。 <このあいだ歩道を歩いていたら、ダンキンドーナツのクールなTシャツを着たおばさんとすれ違いました。Tシャツには「Life's too short to drink lousy coffee」とプリントされていました。「人生は短い、まずいコーヒー飲んでいる暇なんかない」という感じでしょうか。たしかに、美味しいコーヒーを出す店は貴重ですよね。僕は東京・参宮橋に一軒いいカフェを知っています。もうじき僕は神奈川県秦野市渋沢に引っ越すのでかなり遠くなりますが、それでもがんばって旨いコーヒーを飲みに行こうと思います> そうですか。そのTシャツほしいですね。 さて、ダンキンドーナツのコーヒーですが、正直なところ決しておいしくはないです。僕はアメリカに住んでいるとき、ほぼ毎日ダンキンのコーヒーを飲んでいましたから、これははっきり断言できます。薄くてあんまり味がないし。じゃあ、どうして毎日わざわざそんなものを飲んでいたのか? ドーナツを食べながら飲むと、なんか不思議においしいからです。味が微妙にドーナツに馴染むんですね。朝、大学に行くときに、プレーンドーナツを2個と、ポット1杯分のラウジーなブラック・コーヒーを、ダンキンのお店で買って、昼休みに1人でほくほくと食べます。ああ、なんかドーナツが食べたくなってきましたね。 ケイト・テイラーがキャロル・キングの作った「Home Again」を歌います。ピアノはキャロル・キングが受け持っています。 * 番組では他にも、「どうやって的確で分かりやすい文章を書いていますか?」など仕事にまつわる質問から、「村上さんは何もやる気が起きないときはどうしますか?」「男女間のパートナーシップを良好に保つために、村上さんが心掛けていることは?」などプライベートにまつわる質問にも答えました。 (TOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」2023年12月31日(日)放送より)