1-10月の「税金滞納(社会保険料含む)」倒産155件 コスト上昇と業績不振 納付資金を確保できない企業が急増
2024年1-10月「税金滞納」倒産
業績回復の遅れとコストアップで資金繰りが逼迫、租税公課の納付が倒産の引き金になる企業が増えている。2024年1-10月の「税金滞納(社会保険料含む)」が一因の倒産は155件(前年同期比121.4%増)に達し、前年同期の2.2倍に急増。年間最多の2018年の105件を上回り、最多記録の更新を続けている。 2024年10月から社会保険適用対象の事業所が拡大された。これまで以上に、納付資金を運転資金に充当する企業が増える可能性もあり、事業規模を問わず納付に向けた支援のあり方も問われている。 2024年の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、2015年以降で最多だった2018年の年間105件を7月で上回った。2023年度の滞納事業所数は14万2,119事業所(前年度14万811事業所)で、適用事業所の5.1%(同5.2%)を占めている(「令和5年度業務実績報告書」日本年金機構)。 今年10月から社会保険適用対象の事業所が拡大する一方、金融機関や取引先に取引を照会される小・零細企業は増えている。こうした税金滞納が一因の倒産は事業規模を問わず発生している。 取引照会はレピュテーションリスクを起こしかねず、金融機関や取引先との関係悪化や事業継続が難しくなる可能性もある。中小企業ほど価格転嫁が難しいだけに物価高や人件費上昇に加え、今後は金利上昇も企業に重くのしかかってくる。さらに、生き残りをかけて賃上げの実施も避けられない。中小企業は資金繰り維持と租税公課の納付の重要性を理解しながら、支払いに窮する現実のジレンマに陥っている。経営を持続しながら、納付を進める寄り添った支援が求められる。 ※本調査は、2024年(1-10月)の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「税金滞納」関連を集計・分析した。
2024年1-10月の「税金滞納」倒産155件、前年同期の2.2倍に急増
2024年1-10月の「税金滞納(社会保険料を含む)」が一因の倒産は155件(前年同期比121.4%増)で大幅に増えている。すでに7月で、この10年間で年間最多だった2018年の105件を上回った。これはコロナ禍以降の業績不振から抜け出せず、納税に苦慮する企業の姿を映している。 コロナ禍の国税や社会保険料の納付猶予が終了したが、猶予分はその後に上乗せされている。さらに、2022年以降は円安の加速で物価高が収益を圧迫するなか、賃上げの広がりは社会保険の負担を重くしている。資金繰りに余裕を欠く企業は、納税より取引先への支払いを優先しがちで、金融機関や取引先に取引照会が送付されると、滞納が知れ渡り事業継続への支障になる。 最近は小・零細事業者の取引照会も増えており、分納などの関知を含めて健全な納税(納付)に向けた支援のあり方を早急に実現すべきだろう。