リング誌元編集人が提言、那須川天心に必要なのは着実な経験
那須川天心の第3戦の相手、ロブレスとは?
那須川が2023年9月の第2戦に続き、3試合目で対戦するのが、メキシコのルイス・ロブレスだ。この一戦は、寺地拳四朗がカルロス・カニサレスを迎え討つWBC/WBA世界ライトフライ級王座防衛戦のアンダーカードとして、1月23日(火)にエディオンアリーナ大阪で行われる。 年齢は両者ともに25歳だが、那須川がこれまで対戦してきた2人と同様、経験の面ではロブレスが圧倒的に優位だ。メキシコシティ出身のロブレスは、2016年にプロデビューし、これまでの戦績は15勝2敗1分(5KO)。直近の試合ではWBCバンタム級地域(ラティーノ)王座に挑み、無敗の王者アレクシス・モリーナ・アギーレと引き分ける接戦を見せた。 またロブレスがこれまでに喫した2敗は、2017年のヘラルド・エルナンデス戦でのユナニマス・デシジョンの敗戦、2022年のエドガー・バレンシア戦でのスプリット・デシジョンでの敗戦といずれも判定負けのみ。ここまでKO負けを喫したことは一度もない。 錚々たる世界王者たちを育てたメキシコの伝説的トレーナーである『ナチョ』イグナシオ・ベリスタインが直接指導しており、今回、同行来日した。対日本人キラーとも言うべき名伯楽の後押しを受けて那須川と対峙する。
まだ無茶は禁物…那須川が経験すべきマッチメイクとは?
那須川が戦うスーパーバンタム級戦線(初戦はスーパーバンタム級契約、第2戦は400g重い55.7kg契約)は、同じ日本人でアンディスピューテッド・チャンピオンの井上尚弥が君臨する階級だ。 とはいえ、先走って考えるのはやめておいたほうがいい。 『モンスター』井上尚弥は、一戦一戦ごとにボクシング史上指折りの選手としての地位を確立しつつある。現時点で世界屈指のパウンド・フォー・パウンド(PFP)ファイターであり、殿堂入りも確実視される傑物だ。 那須川もこの先、素晴らしい選手に成長していくと思われる。デビュー時点からスター選手として認知される異色の存在だが、今はまだ初期の成長段階。その那須川を、井上のように経験豊富で危険な相手と安易に対戦させるようなことは決してあってはならないことだ。 那須川が今の成長ペースを続けていけば、2025年には階級を上げる準備もできているだろう。その間に、スーパーバンタム級で日本人選手、海外選手の何人かと対戦していくことで、さらに成長を遂げるはずだ。あるいは、今回のロブレス戦がスーパーバンタム級(55.3kg)より低い121ポンド(54.8kg)契約であることを考えると、陣営としてはバンタム級(53.5kg)で世界戦を目指すシナリオもあるのかもしれない。 ボクシング転向前の格闘技経験と天賦の才を持ち合わせた那須川は、この先も早い成長曲線を描いていくだろう。とはいえ、あまり無茶なマッチメイキングはしないことが大事だ。那須川はまだ25歳、焦る必要は全くない。 ※本記事は本誌国際版記事を翻訳し、日本向けの情報を加えた編集記事となる。翻訳・編集:石山修二、編集:スポーティングニュース日本語版編集部 神宮泰暁
スポーティングニュース(原文:Tom Gray、翻訳・編集:石山修二)